ご質問がありますので、ご回答をお願い致します。
社長からの申出に対する対応方法
税務調査中に社長から以下のような申出がありました。架空経費の水増しをし、勘定科目は仕入としてこれにより浮いたお金を、仕事を受けるためのリベートとして使ったと。そしてリベートの支払い先は話せないと。税務署にもわかられたくないと。この場合に架空先も実在する取引先の名を無断で使い請求書を偽造して作成していた。税務署では反面調査で既に使用された取引先からは身に覚えがないとの言質が取られている。このような場合の対応として会社では、直ぐ修正申告書の提出と納付を完了しましたが、①重加算税は免れられないと考えますが②加えて架空の請求書を偽造したことについてはどのような取り扱いになるのでしようか。③リベートの支払先を明らかにするように税務署から指摘された場合の対応④その他の留意点をご教示のほどお願い致します。
以上、よろしくお願い申し上げます。
ご質問、ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。
1 ご質問
>この場合に架空先も実在する取引先の名を無断で使い請求書を偽造して
>作成していた。
>税務署では反面調査で既に使用された取引先からは身に覚えがないとの言質が
>取られている。
>このような場合の対応として会社では、直ぐ修正申告書の提出と納付を
>完了しましたが、
>①重加算税は免れられないと考えますが
>②加えて架空の請求書を偽造したことについてはどのような取り扱いになるのでし
>ようか。
>③リベートの支払先を明らかにするように税務署から指摘された場合の対応
>④その他の留意点をご教示のほどお願い致します。
2 回答
>①重加算税は免れられないと考えますが
そうですね。架空経費計上で、
さらに請求書の偽造という行為までしている
ということですと、法的には重加算税を免れないものと
考えます。
>②加えて架空の請求書を偽造したことについてはどのような取り扱いになるの
>でしようか。
まず、通常の刑事罰の話をすると、
私文書偽造罪(刑法159条)及び同行使罪(刑法160条)
に該当する行為です。
また、脱税としての「偽りその他不正の行為」
を基礎付ける事実とはなります。
>③リベートの支払先を明らかにするように税務署から指摘された場合の対応
通常の質問検査権の必要性について、
税務署が何を把握して、何を根拠に支払先を明らかにするように
ということを言っているのかに依存すると思います。
修正申告上、どのように処理したのか
というところにも依存するでしょう。
(その流失をどのように把握したのか、
役員賞与としたのか等によっては、
指摘のされ方は違うように思いますし、
リベートに利用されたことを税務署は
把握しているのか等)
あるとすれば、いずれにしても、
修正申告上、損金にしていないのであれば、
その法人への調査としては、
質問検査権の必要性がないという
主張があり得ることはあり得ます。
(この必要性の有無は、個別やりとりに
依存しますので、一般論として回答するのは
難しいところです。)
ただ、そもそも、請求書を偽造した
架空経費の水増しという行為を行っている
という悪質性の高い事案であり、
税理士の先生としては、
税理士法の観点もありますから、
税務署に対して、虚偽の事実を伝える
というのは、避けられた方がよろしいかと存じます。
リベートの支払先についての質問に、
虚偽を述べるように求められているのであれば、
税理士の先生としては
税務代理としての対応は難しく、
本人に対応してもらうしかないように思います。
よろしくお願い申し上げます。