いつもお世話になります。
未成年の孫(幼児)へ現金贈与を検討しており、法定代理人である親と贈与契約を締結し、孫名義の預金口座を開設して通帳は親が管理します。
贈与した現金を親権者である親が孫の教育資金など孫本人のために使用することは、祖父母から親への贈与とみなされる恐れはないでしょうか。
それとも、贈与した現金は孫が成人し、孫へ引き渡すまで一切手を付けてはいけないのでしょうか。
贈与が有効に成立するために注意すべき点を教えてください。
よろしくお願いいたします。
ご質問、ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。
1 ご質問
>未成年の孫(幼児)へ現金贈与を検討しており、法定代理人である親と
>贈与契約を締結し、孫名義の預金口座を開設して通帳は親が管理します。
>贈与した現金を親権者である親が孫の教育資金など孫本人のために使用
>することは、祖父母から親への贈与とみなされる恐れはないでしょうか。
>それとも、贈与した現金は孫が成人し、
>孫へ引き渡すまで一切手を付けてはいけないのでしょうか。
>贈与が有効に成立するために注意すべき点を教えてください。
2 回答
幼児であっても、親権者(両親の場合は共同)が
孫の法定代理人として、贈与契約をすることが可能です。
贈与契約のポイントとしては、
顕名があることが重要です。
幼児ということで、以下の会員様のマイページ
から、「【贈与契約書】未成年者の場合」のデータを
ダウンロードしていただき、パターン②を採用
いただければ、顕名がされているものになります。
https://mm.jcity.com/mypage/login/pctlaw
また、親は子の財産管理権を有していますので、
親が子のために贈与された財産を子の代理として支出
する行為自体から、孫ではなく親への贈与とされるわけではありません。
なお、上記は、贈与契約についての議論(みなし贈与以外は
相続税法上の「贈与」は贈与契約を意味します)ですが、
将来の贈与者の相続があった場合の遺産分割や
遺留分侵害額請求の特別受益になるかという視点でいうと、
相続人ではない者への贈与なので、原則としてはなりませんが、
孫の教育資金等のための贈与の場合、本来
親が負担すべきものに関しての孫への贈与
とされる場合には、実質的に親への特別受益と
同視するという判断をする裁判例も多いので、
注意が必要です。
このように、
「贈与」も、どの法律問題との兼ね合いで
考えるかで認定が異なるので、注意が必要です。
(来年の頭にこの辺りについての私の書籍が
発売予定なので、また会員様にプレゼントさせていただきます。)
よろしくお願い申し上げます。