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工作物責任について

お世話になります。●●と申します。

工作物責任について教えてください。

(前提)

・私の事務所の前の私の所有地にコンクリートで固めた側溝があり、
その上に鉄板を敷いています。

・前面道路が狭いこともあり、車がすれ違うたびに、不特定多数の車が
その鉄板の上に乗りあげます。

・そのためコンクリートの劣化も激しく、先日鉄板を支えている
コンクリートの一部が剥がれ落ち、穴が開きました。
特に自転車にとって危険と考えて、業者に頼んで補修しました。

・しかし、別の箇所がいつ剥がれ落ちるかわかりません。

(質問)

・剥がれ落ちる都度の対応はできても、すべてをやり直すことは考えていません。

・もし万が一、私の私有地内で事故があった場合に、工作物責任ということで
所有者の私が責任追及されるということはありますか。

よろしくお願いします。

●●先生

ご質問、ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。

1 ご質問

>・剥がれ落ちる都度の対応はできても、すべてをやり直すことは考えていません。
>・もし万が一、私の私有地内で事故があった場合に、工作物責任ということで
>所有者の私が責任追及されるということはありますか。

2 回答

事故の被害者となり得る者に
対する土地の工作物責任(民法717条)の
成立要件は、
①「土地の工作物の」
②「設置又は保存に瑕疵がある」
③「ことによって」(因果関係)
④「他人に損害を生じたとき」
なお、所有者は無過失責任となります。

となります。

まず、コンクリートで固めた側溝は、
①「土地の工作物」といえるでしょう。

次に②の「設置又は保存に瑕疵がある」とは、
当該工作物が通常有すべき安全性を欠いていること言います。

この安全性の判断をする場合には、
土地の工作物の設置された場所の環境、通常の利用者の行動等を
具体的に考慮されます。

測溝がどのような形態なのか等によって、
判断は分かれるものと思いますが、

>特に自転車にとって危険と考えて、業者に頼んで補修しました。

とのことですので、
安全性を欠くとされる可能性はあるように思います。

そのことが原因で、事故等が生じたといえる
場合には、③及び④も認められてしまうでしょう。

私有地における工作物責任への対策として、
他人が入ることができないようにすることや
注意喚起の看板を設置する等の対応も考えられるのですが、

>・前面道路が狭いこともあり、車がすれ違うたびに、
>不特定多数の車がその鉄板の上に乗りあげます。

という状況ということで、現実的に可能なのか
というところがあります。

そもそも、先生は今回も補修工事をされていますが、
その原因は、
>前面道路が狭いこともあり、車がすれ違うたびに、
>不特定多数の車がその鉄板の上に乗りあげます。

にあるということがありますので、
道路の所有者が誰なのかという点にも
よりますが、例えば公道の場合には、
公共団体等と交渉し、工事費用や利用形態等
について、調整することも考えても
良いのではないかと存じます。

よろしくお願い申し上げます。