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借地権とその更新について

永吉先生

お世話になっております。税理士の●●です。

地主が雇ったコンサルが借地人にいろいろ主張してきました。
その主張が法律上通るのかどうか判断できませんでしたので、
相談させてください。(当方は借地人を支援)

【前提条件】
(契約内容)
・借地契約期間 昭和53年6月~昭和103年(2028年)5月
・普通建物所有目的
・更新料の規定なし
・建物増改築禁止規定あり

(借地に建築されている物件)
鉄筋コンクリート造陸屋根3階建(昭和54年3月築)

(地主側コンサル会社の主張)
・契約期間からもう20年も過ぎてる
・更新料は約1,000万円支払義務がある
・契約上堅固建物ではないからそもそも契約違反
・内装変えるのは契約違反だからしてはいけない

【質問】
1.契約書に定められた期間50年を下回ることはありますか?
2.契約違反がなく合意あれば契約は継続できますか?
3.更新料は規約書上その旨記載なければ原則支払う必要はありませんか?支払うとしたら相場周辺の金額が妥当と考えていいでしょうか?
(相場:路線価×地籍×借地権割合×5%=150万円弱)
4.契約で建物構造を限定することは可能ですか?
もしあるとしたらどんな文言でしょうか?
5.クロス張替等経年劣化の修繕であれば地主に許可なく実行してもいいでしょうか?(構造等変更なし)

以上、よろしくお願い致します。

●●先生

ご質問、ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。

いただいたご事情を前提とすると、
ご質問のコンサル会社は、明らかな弁護士法違反業者かと思われます。
以下のとおり、主張も法的にはめちゃくちゃなものであると考えられます。

1 ご質問①〜期間の点〜

>1.契約書に定められた期間50年を下回ることはありますか?

普通借地権を前提とすると、
旧借地法(契約締結時点から借地借家法ではなくこちらが適用)
は、借地人を保護するためのものであり、
下限はありますが、上限はありません。

したがって、契約で定められた期間50年を下回るということは
ないと考えられます。

2 ご質問②〜契約の継続の点〜

>契約違反がなく合意あれば契約は継続できますか?

上記の期間の経過がない以上、
そもそも契約は継続します。

なお、2028年の段階でという意味で
あるとすると、地主が更新しない場合、
更新をしない「正当な理由」が必要となります。

50年と長期間にわたっていますので、
個別事情(利用実態等)による判断ではありますが、
基本的に、契約違反がない以上、
「正当な理由」が認められるハードルは高いです(立退料の支払い含めて)。

3 ご質問③〜更新料について

>更新料は規約書上その旨記載なければ原則支払う必要はありませんか?
>支払うとしたら相場周辺の金額が妥当と考えていいでしょうか?
>(相場:路線価×地籍×借地権割合×5%=150万円弱)

ご指摘のとおり、契約書に定めがない以上、
原則として支払う必要がありません。

ありえるとすると、契約書には記載が
ないが、両当事者でその合意があったと
証明できる場合となりますが、契約時点から
の期間と今になった初めて更新料の話が
でたということであれば、基本的に
そのような合意が認められる証拠はないでしょう。

支払うとしても、ご指摘のとおり、
周辺相場が妥当なラインかと思います。

4 ご質問④〜建物構造について

>契約で建物構造を限定することは可能ですか?
>もしあるとしたらどんな文言でしょうか?

一応、可能であると思われますが、
明確に「堅固建物による使用を禁止する」という
文言がない限り、難しいでしょう。

本件では、昭和54年に建築され、
それ以降これまで地主も認めてきたという経緯が
ありますから、仮に記載があったとしても、

地主が今更主張するのは難しい可能性が高いです。

5 ご質問⑤〜建物増改築禁止について

>クロス張替等経年劣化の修繕であれば地主に許可なく実行してもいいでしょうか?
>(構造等変更なし)

はい。問題ございません。

6 まとめ

前述のとおり、ご質問のコンサル会社は、
明らかに弁護士法違反行為をしているものと思われます。

これ以上、しつこい等のご事情がございましたら、
弁護士(弊社含む)にご相談いただくのも一案かと存じます。

お客様にご希望があれば、下記の無料相談等もご活用ください。

よろしくお願い申し上げます。