永吉先生
お世話になります、税理士の●●です。
下記のことについて教えていただきたくメールさせていただきました。
1.前提
相続人子2人・・・兄(私が受任・遺言書には未払いの公租公課は兄が全て負担
する旨記載)
・・・弟
弟には連署して申告するか、各別に申告するかを文章中に回答期限をきって
書面にして簡易書留郵送済。その後弟代理人弁護士から遺言執行人と連絡のやり
とりが
出来ないので当方に依頼すべきか否かを判断しようがないとの回答がFAXであ
り。
2.質問
準確定申告期限が迫り、上記FAX受信後はこちらが指定した回答期限が過ぎても回答
がないので
私は兄単独での準確定申告書提出に向けて作成中です。
(付表の相続分欄には指定1/1と記載し全額納付します)
各別に申告するにあたり所得税法施行令第263条2のただし書きで
他の相続人の氏名を付記して各別に提出することを妨げないとあり、
同263条3で「前項ただし書きの方法より同項に規定する申告書を提出した相続人
は、
遅滞なく、他の相続人に対し、当該申告書に記載した事項の要領を通知しなければな
らない。」
とあります。ここで「記載した事項の要領」とはどの程度までの内容が求められてい
ると
考えればよろしいでしょうか?
また弟代理人弁護士にはどのような方法で通知すれば問題ないでしょうか?
以上のことについて何卒宜しくお願いいたします。
ご質問、ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。
1 ご質問
>ここで「記載した事項の要領」とはどの程度までの内容が求められてい
>ると考えればよろしいでしょうか?
>また弟代理人弁護士にはどのような方法で通知すれば問題ないでしょうか?
2 回答
所得税法施行令263条3項の趣旨は、
相続人の各々が行う準確定申告の内容について、
相互に矛盾が生じないようにすることにあると考えられます。
厳密にどこまでのという具体的な定義などが
あるわけではないですが、その他の法律
(会社法などで「要綱」の解釈)からすると
相続人が行う準確定申告の基本的内容
について、他の相続人が理解でき、
すでに行われた準確定申告と矛盾しない内容の準
確定申告を行うことができる程度の内容が求められている
と考えられます。
今回は全額納付しているということなので、
実務上は、準確定申告を行い兄が全額負担した旨伝えれば良いかと
思います。理由は下記参照。
>また弟代理人弁護士にはどのような方法で通知すれば問題ないでしょうか?
実務上は、紛争が生じているというケースだと
口頭でその旨伝えて終わりというケースの方が
多いようには思います。
(なぜ、弁護士が入っているのかは不明ですが)
今回は、兄から単独で準確定申告をしたこと及び
全額について負担したことの2点を記載した
特定記録郵便やFaxなどで弁護士宛に送れば良いように思います。
(兄にも弁護士がついているのであれば、弁護士に任せれば良いです。)
もちろん、より詳細に申告書の
数字や写し等を送るのが所得税法施行令263条3項
の趣旨からすると確実ですが、
仮に同条に違反したからと言って、申告が無効となる
という問題でもないですし、民事上の損害賠償等の対象に
なるわけではないと思われます。
紛争の状況がわかりませんので、
どこまで申告書の内容を現時点で、
見せるかは民事の紛争の対応や判断と合わせて行った方が良いかと思いますので、
現時点では、準確定申告をして、全額負担したこと
程度を伝える対応で問題ないと存じます。
(あくまでも、最終的には兄の判断によるもの
になりますが。)
よろしくお願い申し上げます。