小規模宅地の特例の適用誤り(第11・11の2表の付表)

永吉先生

いつも大変お世話になっております。
税理士の●●です。

(前提)
被相続人:A(P社の会長)
相続人 :B(Aの妻、P社の役員)、C(Aの子、P社の社長)
P社 :A一族が支配する同族会社
小規模宅地の特例の適用が可能な土地:X(自宅)、Y(Pに貸付)、Z(賃貸マンション)
XとZをC、YをBが相続(Bが既にそれなりの資産を持っているため自宅は小規模を適用せずCが相続)
Yを特定同族会社事業用宅地等として小規模宅地の特例を適用

(質問)
顧問税理士が相続税申告書を作成提出(現在は申告期限を経過している)
第11・11の2表の付表の「1.氏名欄」にBのみ記載しています。
第11・11の2表の付表の「1.氏名欄」には、小規模宅地の特例の対象となり得る宅地等を取得した
全ての人の名を記載する必要があり、Cの記載も必要です。
当該場合、小規模宅地の特例(特定同族会社事業用宅地)の適用が否認されると思いますが、
その場合、Cの記載をした修正申告を提出して認めてもらうことは可能でしょうか。

お手数をお掛けしますが、よろしくお願いします。

●●先生

ご質問、ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。

1 ご質問の結論

>顧問税理士が相続税申告書を作成提出(現在は申告期限を経過している)
>第11・11の2表の付表の「1.氏名欄」にBのみ記載しています。
>第11・11の2表の付表の「1.氏名欄」には、小規模宅地の特例の対象となり得る宅地>等を取得した
>全ての人の名を記載する必要があり、Cの記載も必要です。
>当該場合、小規模宅地の特例(特定同族会社事業用宅地)の適用が否認されると思います
>が、
>その場合、Cの記載をした修正申告を提出して認めてもらうことは可能でしょうか。

実務上は、付表の追完(補正)または
形式上の修正申告としての提出をすれば
認められる(否認まではされない)可能性が高いものと考えます。

なお、厳密な税法解釈及び上記で「形式上の修正申告」と表記
した理由については、以下の回答の理由をご覧ください。

2 回答の理由

(1)付表の氏名欄の意味

まず、税法の条文すると、
小規模宅地等の特例の適用を受けるには
租税特別措置法69条の4第7項で、
相続税の申告書(期限後申告及び修正申告含む)
に特例の適用を受ける旨を記載し、その他
財務省令で定める書類の添付が必要とされています。

実務上は書類の添付ではなく、
ご指摘の付票が統一様式となっているということになります。

そして、ご指摘の「第11・11の2表の付表」の1「氏名欄」は、
措置法規則23条の2第8項1号ロで必要とされる
「書類」のうち選択可能性のある特例対象宅地等を取得した
全ての個人が、当該適用対象の土地を選択することをついて
同意する書類として記載されているものです(同施行令40条の2第5項3号)。

したがって、現在の状態ですと確かにすべでの個人が同意
する書類の提出がされていないとされうるということになります。

(2)法的に修正申告ができるか

上記のとおり、小規模宅地の特例の適用は
修正申告である場合にも認められています。

一方で、法的には修正申告は、
国税通則法19条1項で以下の場合
に提出できるものとされています。

==========================
① 先の納税申告書の提出により納付すべきものとしてこれに記載した税額に
不足額があるとき。
② 先の納税申告書に記載した純損失等の金額が過大であるとき。
③ 先の納税申告書に記載した還付金の額に相当する税額が過大であるとき。
④ 先の納税申告書に当該申告書の提出により納付すべき税額を記載しなかつた場合
において、その納付すべき税額があるとき。
==========================

今回の修正申告は法的には上記に
当たらないのではないかと思います。

(3)実務上の対応

上記のとおり、今回は厳密な法的な意味での
修正申告ができる事案ではない可能性があるように思いますが、

本来、修正申告に添付する形でも適用が認められる
添付書類であること、
租税特別措置法69条の4第7項は、申告書への添付
が必要とされているものの、追完を許さない趣旨なのか
ということまでは必ずしも明確でないことから、
実務上は、書類を補正として追完として提出するか、
法的には違うとしても、形式上は修正申告として
提出するという方策を取れば、実務上は
否認まではされない可能性が高いのではないかと思います。

より、法的な厳密な理解でいえば、措置法69条の4第8項で、
改めて提出することにより、
税務署長が「やむを得ない事情があると認めるとき」
には、適用を認めるとされているため、
「やむを得ない事情」が必要という
解釈となるようにも思いますが、実務は
そこまで厳密ではないとは思います。

「全ての個人が、当該適用対象の土地を選択することをついて
同意する書類」として付表に名前さえ記載されれば
十分とされている点も実務上の要請によるもので、
そうであれば、相続税申告書に特例の適用を受ける記載があり、
相続人全員の氏名が記載あればそれで足りている
という考えもあり得るところでもあるため、
実務上はそこまで厳密な運用ができるかというと
怪しいところだからです。

よろしくお願い申し上げます。

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