大変お世話になっております。税理士の●●です。
【前提】
職員が今月は1日も出社していません。1日目は熱があるということでメッセ
ージで連絡をもらっていました。次の週の6営業日の始業時間になっても連絡
がなかったので連絡しました。50分後に返事が返ってきて、熱が下がらない
ので休まして欲しいということでした。先週から無断欠勤になって7日目にな
ります。
始業時間に連絡がなかった際に連絡したら返事が返ってきたので、想像ですが、
連絡するのが面倒になっているのかなと考えています。
【質問】
無断欠勤になっていることについて、納得できる説明がない場合は最終的には
解雇したいと考えていますが、手順として踏まないといけないことは何かある
でしょうか。
よろしくお願いいたします。
ご質問、ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。
1 ご質問
>無断欠勤になっていることについて、
>納得できる説明がない場合は最終的には
>解雇したいと考えていますが、手順として
>踏まないといけないことは何かある
>でしょうか。
2 回答
日本の労働法制及び判例などでは、
解雇が認められる場合が極めて限定的と
されています。
無断欠勤の場合は、労働者側の債務不履行
となりますで、契約違反の事実はあるのですが、
無断欠勤があったから即解雇できるかというと
難しいところです。
個別事情の認定と評価の問題となりますが、
無断欠勤のケースで、過去の裁判例を分析
すると、6日間程度であると、不当解雇と
されている裁判例がほとんどを占め
(東京地裁昭和48年12月7日等)、
解雇が認められている
1つの目安となるのが、2週間以上無断欠勤が続い
ているケースになります(東京地裁平成12年10月27日等)。
ご質問のケースでは、今月1度も
出社していないということですので、
期間的には十分な気がしますが、
>1日目は熱があるということでメッセ
>ージで連絡をもらっていました。次の週の6営業日の始業時間になっても連絡
>がなかったので連絡しました。50分後に返事が返ってきて、熱が下がらない
>ので休まして欲しいということでした。先週から無断欠勤になって7日目にな
>ります。
欠勤の理由を一定頻度で、伝えてはきているため、
欠勤期間のみで、現時点で、正当な解雇であるとまで
認定できるかというと微妙なラインかと思われます。
法的な意味での無難な対応としては、
今後、欠勤する場合には毎日朝連絡をすることを
伝えた上(メッセージ等で履歴が残る形)で、
それでも、無断で一定期間(できれば14日)
連絡もない場合に解雇するという流れとなるかと考えられます。
また、いきなり解雇よりも、
そのような状態の場合、退職勧奨で、
辞める旨の合意ができた方が法的にはリスクが
ないので、できれば合意退職をうながして、
それでも連絡がない等の場合は解雇という方が
リスクは低くなります。
なお、もちろん、「熱が下がらない」という
欠勤の理由が虚偽である場合で、
今月1日も出勤していないということですと
解雇は可能かと思いますが、
これが虚偽であることについては、争いになった場合、
法的には事業者側で立証しなければならないため、
困難なことが多いです。
よろしくお願い申し上げます。