いつもお世話になりありがとうございます。
●●と申します。
たまに、同じ様な質問を顧問先から受ける事が
あるのですが、宜しくお願い致します。
(前提)
○ 法人Aは建設業を営んでる。
○ 受注した工事について、着手後に仕様の変更や追加工事などにより、
当初の請負契約の受注金額や工法、工期などに変更が入ることが結構あります。
○ 元請けであるA社にて受注した工事に大きな変更があるため、
A社の下請け先(外注先)にも追加の工事や仕様の変更などを依頼し
外注先へ依頼する業務内容にも変更が生じることになります。
○ 本来であれば、外注先と変更契約書を作成する、変更による追加の注文請書を
作成することになると思うのですが、印紙がもったいない、面倒くさい、
下請け先は信頼ができる先なので、変更契約書や追加の注文請書を
作成しなくても特に弊害はないので作成しなくても問題はないのではという
質問があります。
○ また、工事の請負契約ではなく、材料の発注などについても、注文書や
基本契約書の作成などを行わずに取引をしている事例もあります。
○ ちなみに、変更契約書や変更による注文請書の作成はないが、
最終的に外注先及び業者からの請求書が作成され、A社としては
当該請求書により支払いをしており、実際に成果物、役務提供、物品の
提供を受けており、税務的にはあまり問題視されることはないと考えています。
(質問)
○ 法人Aの経理や現場管理者から問題は無いかという質問があったのですが、
変更契約書や追加の注文請書を作成しないことで、税務以外でも問題に
なることは想定されますでしょうか。
私の知識不足の回答としては、税務的には請求書が発行され、支払いの内容や
事実は説明できるが、例えば、追加工事に瑕疵があった場合に、当初の契約や
注文請書にて双方にて合意している条項や約款(注文請書の裏面に記載)の
合意内容が同様に担保されるのか、変更契約書にて金額を確定させない
状況において、それ以上の請求がされた場合に拒否や、そもそも支払い金額の
管理が可能なのかなど、税務を離れて作成しないことの不安要素にはなりません
か、
という事を伝えています。
契約書を作成しない取引や、上記の様な追加の工事などについて変更契約書を
作成しない事によるデメリットや注意点があれば、ご教授頂ければ幸いです。
宜しくお願い致します。
松下
ご質問、ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。
1 ご質問
>法人Aの経理や現場管理者から問題は無いかという質問があったのですが、
>変更契約書や追加の注文請書を作成しないことで、税務以外でも問題に
>なることは想定されますでしょうか。
>私の知識不足の回答としては、税務的には請求書が発行され、支払いの内容や
>事実は説明できるが、例えば、追加工事に瑕疵があった場合に、当初の契約や
>注文請書にて双方にて合意している条項や約款(注文請書の裏面に記載)の
>合意内容が同様に担保されるのか、変更契約書にて金額を確定させない
>状況において、それ以上の請求がされた場合に拒否や、そもそも支払い金額の
>管理が可能なのかなど、税務を離れて作成しないことの不安要素にはなりません
>か、という事を伝えています。
>契約書を作成しない取引や、上記の様な追加の工事などについて変更契約書を
>作成しない事によるデメリットや注意点があれば、ご教授頂ければ幸いです。
2 回答
そうですね。
先生もご認識のとおり、契約書や注文請書などを作成していない
取引の民事上の問題点としては、その(変更)内容の合意があったのか
否かや従前の契約条項の適用があるとの合意なのかが問題となる点です。
もちろん、契約の効力は、意思表示の合致があれば、
発生しますので、「(変更)契約書等がない=(その変更)合意がない」という
ことではありませんが、その内容について争いになれば、
事実経緯などからの事実認定と評価の問題となってしまいます。
(つまり、言った言わないなどの問題となり得る)
この辺りを明確にして、紛争予防や紛争になった際の証拠とするのが、
契約書になります。
ですので、(変更)契約書はできる限り作成した方がベターという
こととなります。
>印紙がもったいない、面倒くさい、
>下請け先は信頼ができる先なので、変更契約書や追加の注文請書を
>作成しなくても特に弊害はないので作成しなくても問題はないのではという
>質問があります。
これらの事情から変更契約書や追加注文請け書を作成しくない
ということです(お気持ちはわかります)と、
少なくとも、どのような工事が追加になり、その追加工事の金額が
いくらになるのか等の基本部分だけでも、せめてメールなどの証拠が残る
形で残しておくというような対応自体はした方が良いようには思います。
例えば、建設業等では、注文者、元請け及び下請などが1つの工事の関して
利害関係者が多いため、注文者には請求できない追加工事について、
下請から請求がきてしまうなどのトラブルは、比較的多いです。
なお、
>例えば、追加工事に瑕疵があった場合に、当初の契約や
>注文請書にて双方にて合意している条項や約款(注文請書の裏面に記載)の
>合意内容が同様に担保されるのか
こちらについては、同一工事に関連した追加工事等がある場合にも
当該条項が適用される旨を当初の契約書などに定めておく
ことで明確化するなどの工夫も可能ではあります。
よろしくお願い申し上げます。