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株式会社のみなし解散規定

永吉先生

いつも大変お世話になっております。
税理士の●●です。

バブル時に不動産投資に失敗し数十億円の借入金がある会社Xがあります。

Xは設立から47年経っており、顧問税理士が株主名簿及び別表2を作成していないことから、
株主が不明ですが代表取締役社長のA氏が設立しています。

そもそもこのように株主がわからない会社はどの様にして株主を確定したらよろしいのでしょうか。

上記借入金(数十億円)は不動産取得のため銀行から借りましたが、バブルが崩壊し、不動産が多額の含み損を
抱えたため、銀行主導で不動産が売却され売却代金を銀行に返済し、残額を銀行がアメリカの所在不明SPCに
30年前に譲渡(通称「飛ばし」?)しています。

アメリカの所在不明SPCからは30年間一度も連絡がありません。

Xは3億円をY社(不動産管理業、株主:A62%、Aの子13%、X25%)に貸し付けています。

Xは12年登記をしないとみなし解散できるのでしょうか。

みなし解散となった場合、Yに対する債権は免除されYで債務免除益3億が計上されるのでしょうか。

A氏はXを解散したいと思っていますが、税負担が最も少なくなる方法等ご存知でしたらお教えいただけますと有難いです。

お手数をお掛けしますが、アドバイスお願いします。

●●先生

ご質問、ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。

1 ご質問①〜株主の確定〜

>Xは設立から47年経っており、顧問税理士が株主名簿及び別表2を作成していないこと
>から、株主が不明ですが代表取締役社長のA氏が設立しています。
>そもそもこのように株主がわからない会社はどの様にして株主を確定したらよろしい
>のでしょうか。

このような場合、できる限りの資料を収集して
調査した上で、最後は割り切って方針を決める以外の方法はありません。

つまり、どのような手続きをするにしても、
法的な完全な形で行うことは不可能ですので、
47年放置されてきたということから、証拠関係から
どこかで線引きをして割切る以外ないということとなります。

2 ご質問②〜債務免除益等

>アメリカの所在不明SPCからは30年間一度も連絡がありません。
>Xは3億円をY社(不動産管理業、株主:A62%、Aの子13%、X25%)に貸し付けてい
>ます。
>Xは12年登記をしないとみなし解散できるのでしょうか。
>みなし解散となった場合、Yに対する債権は免除されYで債務免除益3億が計上される
>のでしょうか。

そもそも、みなし解散制度は、会社を「解散」するのみになります。
法人の法人格を消滅させる場合、

「解散→清算手続きの結了」があって初めて消滅します。
実務的には、解散だけされて放置されている会社も多数あります。

ですので、Xがみなし解散とされた場合、
厳密には、Xは清算手続きとしてYに対して3億円を
請求して回収するということとなります。

そして、Xが清算手続きを結了させるためにYに対する債権を
放棄するということであれば、
Y社に債務免除益が生じることとなります。

なお、Xが債務超過の場合には、清算手続きによる
結了はできませんので、破産手続き(この場合、管財人がY社に対して、
3億円の請求をしてくるでしょう)によることとなります。

ただ、X社の債務超過の原因がS P Cからの債権である場合、
時効の援用等を利用して、債務超過を解消した上で、
清算手続きを結了するという方法もあり得ます。

>A氏はXを解散したいと思っていますが、
>税負担が最も少なくなる方法等ご存知でしたらお教えいただけますと有難いです。

こちらの意向がX単独で法人格を消滅させたいという
ことであれば、いずれの方法によっても、Y社への債権は
消滅させる必要がありますので、債務免除益自体は生じることとなります。

その他、税負担が最も少なくなる方法等は、
各社の財務状況などによりますので、
個別コンサルなしで、最も少なくなります
という明確な(画期的な?)方法等はないものと思われます。

よろしくお願い申し上げます。