金融業の会社ですが、純資産5千万以上なければ、営業継続できないので、過去回
収不能の貸付金について、そのままにしているものがあります。最近はあまり利益が
でないので、解散することにし、貸金業協会には、事業廃止の届を出しました。
今回登記上も解散の手続きをとることにしました。主な債権債務は、貸付金と役員
借入金です。
貸付金はもう10年以上前からの不良債権で、いろいろ努力してきましたが、行方不明
等で相手に行きつきません。
回収できないので、債権放棄通知書を出し、貸倒損失を計上して翌期、役員借入金の
債務免除益をたてる予定でした。
ところが、借入している役員が、平成30年末で特別障碍者として認定されました。
認知症のようです。
解散の決議は3人取締役(妻が代表取締役、夫が取締役で特別障碍者、子が取締役)
いるので2人で決議することができます。
夫の状態を確認すると、何もわからないというわけではなく、何年後か先ならわから
ないけど、今なら署名することができるそうです。
それで当初の予定通り急いで、時期が来たら債権放棄通知書に署名をしてもらうつ
もりですが、医師の診断書をもらえば、自己判断という点でクリアできますか。又診
断書がない場合は何か問題が発生しますか。
署名そのものができない場合は何か解決策がありますか。最後の段階で裁判所に特別
清算を申し立てるのでしょうか。
役員借入金以外の債務はあったとしても払うことができます。債権は貸付金以外あり
ません。(借入相殺して)。
よろしくお願いします。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。
1 ご質問
>借入している役員が、平成30年末で特別障碍者として認定されました。
>認知症のようです。
>解散の決議は3人取締役(妻が代表取締役、夫が取締役で特別障碍者、子が取締役)
>いるので2人で決議することができます。
>夫の状態を確認すると、何もわからないというわけではなく、何年後か先ならわから
>ないけど、今なら署名することができるそうです。
>それで当初の予定通り急いで、時期が来たら債権放棄通知書に署名をしてもらうつ
>もりですが、医師の診断書をもらえば、自己判断という点でクリアできますか。又診
>断書がない場合は何か問題が発生しますか。
>署名そのものができない場合は何か解決策がありますか。最後の段階で裁判所に特別
>清算を申し立てるのでしょうか。
2 回答
夫が意思能力がないとされた場合、
法的には、債権放棄が無効となります。
仮に、清算を結了登記をした
としても、債務(役員借入金)が残っている状態の場合には、
法人格は消滅していない(登記が入っているだけ)という
ことになってしまいます。
これを完全にというと、
特別清算の申立てまたは破産手続きの申立てということになります。
その場合、債権者集会への参加や債権者(夫の同意や和解)が
できませんので、事実上、家庭裁判所における
後見人の選任が強制されることになるでしょう。
後見人が専門家となった場合には、債権放棄や
協定への同意はしにくいでしょうから、
破産手続きを行うことになろうかとは思います。
現実的な意見をいうと、
本来は、このような状態の場合、
無効リスクがあるので、真正面からは
いえないのですが、
>夫の状態を確認すると、何もわからないというわけではなく、
という状態や今回は、既に事業廃止の届出をしている
ことからすると、そもそも役員借入金が
返済される見込みはないということで、
債権放棄通知書を作成し、清算結了して
しまうという方法もあり得るかなというところです。
(現実的には登記まで閉まれば、問題化する可能性は極めて低いという意味です。)
なお、
>特別障碍者として認定されました。
とのことで医師の診断書は、期待しない方が良いでしょう。
このような状況で医師として債権放棄が可能なだけの
意思能力があるというようなことは基本的には、書いてくれないでしょう。
ただし、法的にリスクが「0」というわけでは
ありませんし、仮に破産手続きをした場合、
破産のための費用はかかりますが、
債権者である夫へも一部の返済があり得る(他の債権者への
返済が一部夫に回る)ところなので、結局のところ、
法人財産の状況なども考えた上で、
メリット・デメリットを考慮した上で、
意思決定いただく他ないでしょう。
仮にお客様にご希望があれば、
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により、会社の財産状況などを踏まえて、
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