未分類

借地権の更新料について

永吉先生

借地権の更新料について質問させてください。

前提事項
・個人間で20年の土地賃貸借契約を締結しており、居住用建物(自宅)が建ってい
る。
・2002年に更新料を支払っており、金額は路線価の1割程度
・更新料の計算根拠や更新料の金額に関する記載は契約書になく、地主から言われた
金額を支払った。
・上記更新料を払って、再度20年の土地賃貸借契約を締結している。
・2022年に契約期限となるが、土地賃貸借契約書には更新料の有無は記載されていな

・2022年にも更新料の支払いを求められると思われる。

質問
・2022年の更新料は払う必要があるのでしょうか。
また、払わなかった場合は、出ていかなくてはいけないのでしょうか。

・更新料の金額は地主からの言い値をそのまま払うしかないのでしょうか。
それとも、金額の交渉はできるのでしょうか。
交渉できる場合は、誰に(例えば不動産業者や弁護士先生?)依頼するのが一般的
なのでしょうか。

●●先生

ご質問、ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。

1 ご質問①〜更新料の支払義務等

>・2022年の更新料は払う必要があるのでしょうか。
>また、払わなかった場合は、出ていかなくてはいけないのでしょうか。

基本的に借地権の更新の際に、更新料の支払義務が
生じるのは、当事者の合意(契約)内容となっている場合です。
(慣習により支払義務が生じるという考え方も
ありますが、裁判所は基本的に認めていません。)

契約書に定めがないと更新料を支払う合意が
あったと立証することはかなり難しくなります。

一方で、今回のように一度更新の際に更新料を
支払っている場合、当事者の合意として、この借地契約は
更新料を支払うものとする合意があったという主張が
なされることが多くあります。

つまり、契約書に記載はないものの、
当事者間では支払合意があったのだというものです。

契約書に記載がないにも関わらず、
更新料の支払義務を認めたものとして、
東京地裁平成28年3月29日判決などが
ありますが、

複数回の更新料の支払実績がある上、借地権者が
別の地主にも更新料を払っているというような
事情から認定されているものですので、
一度の支払いの事実のみでその合意があったと
認定できるかというと簡単ではないでしょう。

また、一度の支払いでは、将来の更新料の
支払いまで合意したとまで言えないとする
裁判例(東京地裁平成25年5月15日判決)も存在します。

個別事情にもよるところはありますが、
個人的には、特に居住用建物のケースでは、
一度の更新料の支払いで合意まであったとされる可能性は、
低いものと考えます。

2 ご質問②〜交渉等について

>更新料の金額は地主からの言い値をそのまま払うしかないのでしょうか。
>それとも、金額の交渉はできるのでしょうか。
>交渉できる場合は、誰に(例えば不動産業者や弁護士先生?)依頼するのが一般的
>なのでしょうか。

上記のとおり、いただいた事情からは、
更新料の支払義務がないとされる可能性が高いですが、
一度の支払いで、その金額の支払合意があったと
するのは、前述の更新料を支払う合意があったと
証明するよりも困難です。

実務上は、認定の問題となってしまい更新料の不払いによる
更新拒絶が認められてしまうと不利益があまりにも大きいこと、
実際に長期間にわたり借りるという地主との関係性、
借地権の権利は実際に強力であることから、
何かしらの金額を支払っているケースが多いことはありますが、
少なくとも言値で支払う必要はないでしょう。

>交渉できる場合は、誰に(例えば不動産業者や弁護士先生?)依頼するのが一般的
>なのでしょうか。

この場合、不動産業者さんが行うと弁護士法違反となりますので、
弁護士となります。
(実務上、違法な行為をしている業者があるかどうかは別ですが)

ご希望がございましたら、会員様専用の無料面談相談等の
ご活用もご検討ください。

よろしくお願い申し上げます。