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認知症になる前の対策について

永吉先生

認知症になる前の対策についてご教示ください。

【前提事実】
・母と長男が自宅土地を共有(母2/5、長男3/5)で同居している。
・母は判断能力があり、健康状態は良好
・長男は、母の判断能力が衰えてきた時に、不動産の持ち分を処分してしまわないか
心配

【質問】
・母の判断能力が衰えてきた場合、長男は母が所有する不動産持ち分について、処分
できないような念書を母に書かせたいようなのですが、それは法律的には意味がない
ものでしょうか。

・また、長男の心配ごとを解消するには、事前に土地を譲り受けるか、認知症になっ
た時に備えて、成年後見制度や民事信託制度を活用すること以外は考えられないで
しょうか。

ご確認の程、よろしくお願い致します。

●●先生

ご質問、ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。

1 ご質問①〜処分できない場合の念書

>・母の判断能力が衰えてきた場合、長男は母が所有する不動産持ち分について、処分
>できないような念書を母に書かせたいようなのですが、それは法律的には意味がない
>ものでしょうか。

法律的に意味がないわけではありませんが、
仮に母が売却してしまった場合、
その念書があるからと言って買手に無効等が主張できる
わけではありません。
母へ損害賠償等ができるだけということになります。

そうすると、長男さんの心配事が解消できるか
というとそうではないでしょう。

2 ご質問②

>・また、長男の心配ごとを解消するには、事前に土地を譲り受けるか、認知症になっ
>た時に備えて、成年後見制度や民事信託制度を活用すること以外は考えられないで
>しょうか。

そうですね。
一般的には、上記が現実的な対応にはなるでしょう。

個別事案に応じては他に方法が思いつかないわけでは
ありませんが、長男さんの心配事解消という目的であれば、
これらの方法が最も簡便で現実的だと思われます。

なお、任意後見の場合、後見人には、本人の契約行為に対する
同意権がありませんので、長男さんの心配事を解説する
という意味では後退します。

もちろん、任意後見が開始している本人から
直接持分を買取る者がいるのか?という点で、
事実上のリスクはかなり低減されます。