税理士の●●です。
ざっくりとした質問で申し訳ありません。
【前提】
法人A(建設業)は前事業年度に顧客へ完成物件を引き渡したが、その代
金を払ってもらえない(瑕疵等の主張がある)ため、裁判を起こした。
その際弁護士に対して着手金330万円を役員である会長が個人で立て替え
払いをしたが、法人Aの前事業年度では経費計上及び会長からの借入等の
処理をしなかった。
契約の当事者は法人Aであり、前期の損金とするために更正の請求を行う
ことを考えている。
【質問】
エビデンスとして法人Aと弁護士との契約書はありますが、
更正の請求をする前に、「会長個人が立替払い」したものは会社が支払
うべき費用でありかつ会長からの借入であることを取締役会あるいは株
主総会で決議等を行い、議事録等を作成しておくべきでしょうか。
前事業年度2019.8.1-2020.7.31
当事業年度2020.8.1-2021.7.31
更正の請求及び会社から会長への支払い(返済)は2021.8.1以降となり
ます。
よろしくお願い致します。
ご質問、ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。
1 ご質問
>【質問】
>エビデンスとして法人Aと弁護士との契約書はありますが、
>更正の請求をする前に、「会長個人が立替払い」したものは会社が支払
>うべき費用でありかつ会長からの借入であることを取締役会あるいは株
>主総会で決議等を行い、議事録等を作成しておくべきでしょうか。
>前事業年度2019.8.1-2020.7.31
>当事業年度2020.8.1-2021.7.31
>更正の請求及び会社から会長への支払い(返済)は2021.8.1以降となり
>ます。
2 回答
法人Aと弁護士との契約がある以上、
法的には、法人Aが支払うべきものを会長個人
が支払ったという第三者弁済ということになり、
支払った会長個人から法人Aに求償権(法人から見ると
仕訳上は役員借入金と処理しているケースが多い)が
生じている状態かと思います。
ですので、税務上更正の請求が認められないすると、
会長の第三者弁済の趣旨が、上記の求償権を
放棄する前提でなされたものだと認定できない
限りは、更正の請求が認められることとなります。
>法人Aの前事業年度では経費計上及び会長からの借入等の
>処理をしなかった。
ということのみから、そこまで認定できるかというと
難しいのではないかと考えます。
法律上は、取締役等が第三者弁済をするケースで、
株主総会や取締役会の決議が必要ということはないです。
一応、弁護士との契約書と会長の支払いの事実、
以外にも、基礎付ける資料を用意しておきたい
ということであれば、会長の支払いは、第三者弁済であり、
求償権が生じ、会社は返済義務があることについて、
確認決議を取り、議事録を作成しておくというのも
対応としては、あり得るかと思います。
ただ、現状で、第三者弁済のケースでそれをしたからといって、
どこまで意味があるのかというと、法的にはあまりありません。
税務署への説明の便宜として、作成するというのは
しても良いかと思います。
よろしくお願い申し上げます。