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粉飾決算と住宅ローンの関係について

永吉先生

いつもお世話になっております。
粉飾決算を行っていた会社についてご質問です。

こちらの会社については、粉飾決算の件で以前もご質問させて頂きました。
現在、10期目の税務申告が終わり、これから借入をしている各金融機関へ決算書の提出をしなければならない状況です。

粉飾決算については、今まではコンサル会社が記帳代行し、税務申告はそのコンサル会社と紐付きの税理士が行っていたようです。
粉飾決算については、コンサル会社が金融機関用に決算書と勘定科目内訳書を税務署用とは別で作成していたようでした。
今まで、記帳をコンサル会社に丸投げしており、そのコンサル会社の記帳自体もかなり適当だったため、私の方も、諸々の事実確認に時間を要してしまいました。

10期目より私に顧問税理士が変更となり、顧問契約前に、その顧問先を紹介してもらった金融機関の担当者からもらった決算書と勘定科目内訳書と、税務申告書の控えと一緒に綴ってあった決算書と勘定科目内訳書の内容が違っていたことから、粉飾決算が判明しました。

社長自身は、今まで丸投げのため、自社が粉飾決算を行っていたことなど、自覚していなかったのですが、現在は社長が知らなかったで済まされる話ではないことを理解してくれています。
そこで、社長に今後どうしたいかとお話ししましたところ、きちんと事実を金融機関に報告したうえで返済していきたい。とおっしゃっているため、これから金融機関へ報告するつもりです。

ですが、長引くコロナの影響で、業績が悪化し、今の借入金を約定通りに返済することはほぼ不可能に近い状態となってしまいました。
そこで、金融機関には、粉飾決算の事実と合わせて、リスケをお願いできないかと相談しようと思っています。

そこでご質問なのですが、去年、社長が個人で自宅を購入しており、その住宅ローンがあります。
自宅を購入したのは、私が関与する前で、粉飾決算の事実が判明する前です。

今回、粉飾決算を金融機関に報告することで、社長個人の住宅ローンが「期限の利益の喪失」などとなってしまわないか心配しています。
会社の代表者となると、恐らく住宅ローンの審査の際に、会社の財務状態も考慮されているのでないかと思われます。
事実と異なる決算書を提出して住宅ローンを申し込んだために、「期限の利益の喪失」で住宅ローンまでも一括返済と言われご自宅が競馬にかけれれる。ということも、あるのでしょうか。
もし可能性があるのであれば、金融機関に報告するまえに、社長にそのことをお話ししておかなければならないと思いました。

そして、その可能性がある場合、事前に可能な対策などございましたらご教授いただけないでしょうか。

お忙しいところ恐れ入りますが、よろしくお願いいたします。

●●先生

ご質問、ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。

1 ご質問

>今回、粉飾決算を金融機関に報告することで、社長個人の住宅ローンが「期限の利益の
>喪失」などとなってしまわないか心配しています。
>会社の代表者となると、恐らく住宅ローンの審査の際に、会社の財務状態も考慮され
>ているのでないかと思われます。
>事実と異なる決算書を提出して住宅ローンを申し込んだために、「期限の利益の喪失」
>で住宅ローンまでも一括返済と言われご自宅が競馬にかけれれる。ということも、
>あるのでしょうか。
>もし可能性があるのであれば、金融機関に報告するまえに、
>社長にそのことをお話ししておかなければならないと思いました。

2 回答

(1)期限の利益が喪失するか

>事実と異なる決算書を提出して住宅ローンを申し込んだために、「期限の利益の喪失」
>で住宅ローンまでも一括返済と言われご自宅が競馬にかけれれる。ということも、
>あるのでしょうか。

こちらについては、契約書の内容を確認をお願いいたします。
契約書内に「提出資料等に重大な虚偽等が含まれていたこと」など、
喪失事由になる項目が入っていると期限の利益が喪失する
可能性があることになります。

>一括返済と言われご自宅が競馬にかけれれる。ということも、あるのでしょう
>か。

期限の利益が喪失すれば理論上は銀行の判断次第で
そのようなこともあります。

ただ、期限通りに返済をしているということですと、
競売までするかというとコストの関係もありますので、
そこまではしないのではないかという部分もありますね。

銀行の判断次第ということにはなりますね。

>ですが、長引くコロナの影響で、業績が悪化し、今の借入金を約定通りに返済するこ
>とはほぼ不可能に近い状態となってしまいました。
>そこで、金融機関には、粉飾決算の事実と合わせて、リスケをお願いできないかと
>相談しようと思っています

このような会社の状況でさらに粉飾という事実があるとすると、
金融機関が回収を急ぐ可能性自体は通常より高いと思います。

(2)その他

>そして、その可能性がある場合、事前に可能な対策などございましたら
>ご教授いただけないでしょうか。

そうですね。粉飾していた事実を伝える前提ですと、
その前にやれることとしては追加担保を差し出せるように準備する等
はあるのかもしれませんが、期限の利益を喪失するのであれば、
あくまでも銀行との交渉(銀行の判断)になりますので、
あまり有益な事前対策等はありません。

よろしくお願い申し上げます。

永吉先生

お世話になります。
税理士の●●です。
ご質問の回答ありがとうございます。

そこで追加のご質問です。

代表者に確認しましたところ、住宅ローンを借りている金融機関からは、住宅ローン以外の借入はないそうです。
粉飾をしていた法人とは取引がないようなのですが、
今後、粉飾を明らかにしたことが住宅ローンを借りている金融機関に伝わるようなことはございますでしょうか。

よろしくお願いいたします。

●●先生

再度のご質問、ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。

1 ご質問

>代表者に確認しましたところ、住宅ローンを借りている金融機関からは、住宅ローン以
>外の借入はないそうです。
>粉飾をしていた法人とは取引がないようなのですが、
>今後、粉飾を明らかにしたことが住宅ローンを借りている金融機関に伝わるようなこ
>とはございますでしょうか。

2 回答

そういう事情であれば、法人の借入先金融機関が
何か回収の法的な手続きを取らなければ、
基本的に伝わる事実上の可能性自体は低いと思います。

例えば、法人借入の連帯保証人に代表者が
なっている場合で、財産を差し押さえる等の
行為があった場合には、発覚する可能性自体は残ります。

また、もちろん、人が介在することなので、
そうでなくても、可能性がないとは言い切れませんし、
情報を取得すれば、

個人の借入先の金融機関側から決算書を出して
欲しい旨要求される(どこかで情報や噂を取得)
ということは可能性という点ではあり得ます。

その場合、金融機関は誰かから聞いた等はいわずに
要求してくるという方法をとってくるでしょう。
(要求に応じる必要があるかは契約書を見てください。)

よろしくお願い申し上げます。