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同族会社に対する社長貸付金の債権放棄と相続税の関係について

永吉先生
お世話になっております。
税理士の●●です。

以前にも少し質問をした事がありますが、もう少し詳しくご教示いただきたいと思い
まして
メールさせて頂きます。

同族会社(株の持ち分:社長50%妻20%長男20%長女10%出資の法人)の
社長(被相続人)が亡くなる2年前に、当該法人に貸し付けている貸付金を、繰越欠
損金の範囲内で
3,000万円の債権放棄をしました。(法人は債務免除益で処理)

この場合の債権放棄をした貸付金の扱いについて

①3年以内に株主に対し贈与をしたとみなし、この3,000万円は
相続税の計算上、相続財産に加算されるのでしょうか?

②債務を免除する事で、相続税の基本通達9-2(株の価格が増加した場合)
が適用され株の所有割合に応じみなし贈与税が発生する事が想定されますが、
債務免除をしてもなお、会社の株価(純財産・・・△6,000万円から△3,000万円に
価値が増加??)
がマイナスの場合でもみなし贈与税は発生するのでしょうか?

ご教示よろしくお願いいたします。

●●先生

ご質問、ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。

1 ご質問①〜みなし贈与と3年以内贈与

>同族会社(株の持ち分:社長50%妻20%長男20%長女10%出資の法人)の
>社長(被相続人)が亡くなる2年前に、当該法人に貸し付けている貸付金を
>繰越欠損金の範囲内で
>3,000万円の債権放棄をしました。(法人は債務免除益で処理)

>①3年以内に株主に対し贈与をしたとみなし、この3,000万円は
>相続税の計算上、相続財産に加算されるのでしょうか?

以前にご相談いただいた100%株主による債権放棄と
異なり、この場合、債権放棄がみなし贈与(相続税法9条)となるケースでは、
相続税法19条による3年以内贈与の適用があるものと考えられます。
(ただし、ご質問②参照)

2 ご質問②〜みなし贈与課税について

>②債務を免除する事で、相続税の基本通達9-2(株の価格が増加した場合)
>が適用され株の所有割合に応じみなし贈与税が発生する事が想定されますが、
>債務免除をしてもなお、会社の株価(純財産・・・△6,000万円から△3,000万>円に価値が増加??)
>がマイナスの場合でもみなし贈与税は発生するのでしょうか?

他の株主に対するみなし贈与の問題は、あくまでも、
該当行為により、「価値の移転」が生じるため、適用させるものです。

株式の価格は、株主が有限責任であることなどから、
会社資産がマイナスであったとしても、「0」以下の意味を
持つものではありません。

つまり、当該債権放棄で、他の株主が得た価値は、
「株価0円→株価0円」ということであれば、0と
なりますから、先生のご想定の事案では、みなし贈与の
適用はないものと考えます。

確かに、将来利益剰余金が積もった場合、
マイナス部分が減るではないかという点は
ありますが、上記株式の性質や債権放棄をした
時点以降の事情を考慮して、みなし贈与規定を
適用するのは、法解釈として無理があるでしょう。

もちろん、当初より収益が上がる事項が予定されており、
計画表などのスキームの証拠があるというような
ケースは別途、各行為の一体性などの議論には
なるかと思いますが、通常の債権放棄ということであれば、
上記のとおりかと存じます。

よろしくお願い申し上げます。