民法

WEB人材採用システムの自動更新の有効性

永吉先生

いつもお世話になります。

顧問先の会社で、1年前にWEB広告を利用した人材採用のシステムを申し込み80万円支払いました。期間は1年間です。

本年6月10日に1年が経過した時点で自動更新されたとして2年目の利用料80万円の請求を受けました。

社長のとしては1年間の利用料として80万円を支払ったのであり、2年目は利用するつもりはなかったという認識です。

ただ、1年前の加入時の申込書及び規約を参照すると、自動更新について次の記述があります。

「利用期間終了日の30日前から利用期間終了日までの間に、当社所定の方法により、当社に対して利用規約の解約の申し出がない場合、利用期間は自動的に元の利用期間と同じ期間延長されるものとし、以後も同様とします。・・・更新の都度、初回利用時の申込書に記載された金額と同額をお支払いいただきます。」

社長が更新はするつもりがないと申し出たところ、規約に自動更新が規定されており、クーリングオフなどには該当しない。と言われ80万円の支払いを求められています。

確かに当初の申込書に自動更新の文言はあります。しかし、80万円という少なくない金額の請求が発生するものについて一切交渉ができないものなのでしょうか?

何か手立てがあればと思っております。

以上、よろしくお願いいたします。

●●先生

ご質問、ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。

1 ご質問

>社長が更新はするつもりがないと申し出たところ、
>規約に自動更新が規定されており、クーリングオフなどには該当しない。
>と言われ80万円の支払いを求められています。
>確かに当初の申込書に自動更新の文言はあります。しかし、80万円という少なくない金額の>請求が発生するものについて一切交渉ができないものなのでしょうか?
>何か手立てがあればと思っております。

2 回答

まず、自動更新条項というのは基本的に有効と解されています。
だからと言って一切交渉ができないわけではありません。

問題は、この採用システムがどのようなものかに
依存しますが、

例えば、ウェブ上のシステムを会社側でいつでも
利用でき、80万円がその利用に対する対価(つまり
1年間の対価)である
というようなケースでは、申込書等で中途解約の規定が
ないか確認します。その場合の対価の取り扱い等の規定が
存在すれば、その規定によることになりますが、そうでない
場合には、早期に解約をして利用してない期間の減額を求め、
契約更新から解約までの日数を計算してその部分だけ
振込む等の対応も可能なケースがあります。

一方、広告の出稿自体の対価である場合には、
出稿していない状態であり、業者側の請負契約に
おける「仕事の完成がない」として、契約の解除
及び対価の支払いを拒否するという方法も
考えられなくもありません。

上記は具体的なサービスの内容と規約等を
確認しなければ確定的なことはわからない部分が
大きいため、よろしければ、ウェブ会議等でも
利用可能ですので、事前に資料をご共有いただいた上で、
会員様特典である無料相談をご利用いただくことも
ご検討いただければと思います。

また、以下は事実上の交渉についてになりますが、

今回は、実際にサービスを受ける気がないという点も
ありますから、こちらが支払わないという態度にでると、
相手は、最終的には訴訟をするしかなくなります。

訴訟をするとなるとそれなりの費用が生じますので、
全額の80万円ではなく、減額した金額で、調整して
和解するという道もあるかと思います。

なお、和解金額は、法的な見通しを踏まえた上で
調整するものではありますので、
規約を読んでもよくわからない等があれば、
顧問先様に上記の無料相談をご利用いただければ
精度の高い見通しをお伝えできるかと存じます。

よろしくお願い申し上げます。