お世話になります。
税理士の●●です。
下記件につきアドバイスお願いします。
(前提)
被相続人:夫
相続人 :妻(配偶者)、被相続人の妹
遺言書 :想定される相続財産についてはすべて記載し、妻に相続させる旨の記載あり
想定される相続財産:約4億円
遺言書に記載されていない相続財産:4000万円
(質問事項)
被相続人の妹が取得(遺産分割)できる財産をお教えください。
被相続人の妹が取得できるのは、4000万円の1/4(法定相続分)という理解でよろしいでしょうか。
それとも全体の相続財産4.4億円のうち妻が遺言で既に4億(約90%)の財産を相続しているため、
妹の法定相続分は1.1億円(4.4億円×1/4)になるため、妹は分割が確定していない財産4000万円
すべて相続(遺産分割)することができることになるのでしょうか。
→ 相談者が知り合いの弁護士に相談したところ、当該回答がありました
よろしくお願いします。
ご質問、ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。
1 ご質問
>想定される相続財産:約4億円
>遺言書に記載されていない相続財産:4000万円
>被相続人の妹が取得(遺産分割)できる財産をお教えください。
>被相続人の妹が取得できるのは、4000万円の1/4(法定相続分)という理解で
>よろしいでしょうか。
>それとも全体の相続財産4.4億円のうち妻が遺言で既に4億(約90%)の財産を
>相続しているため、
>妹の法定相続分は1.1億円(4.4億円×1/4)になるため、妹は分割が確定していない
>財産4000万円すべて相続(遺産分割)することができることになるのでしょうか。
>→ 相談者が知り合いの弁護士に相談したところ、当該回答がありました
2 回答
確かに遺言書の記載から形式的に判断すると、
この弁護士さんが回答したとおり、
妹は、分割が確定していない財産4,000万円に関して、
全相続分を有することとなります。
つまり、裁判例等では相続させる旨の遺言にも、相続分に関する
特別受益の規定(民法903条)の適用があると解されているところ、
遺言書の対象となっていない4000万円への妻の相続分は
以下のとおりとなります。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(4億+0.4億)× 4億/4.4億(法定相続分を超える相続させる旨の遺言には相続分の指定が伴うため)ー4億=0
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
したがって、妹が残財産4000万円についてはすべての
相続分を有することとなります。
一方で、遺言は遺言書の記載のみではなく
その作成経緯なども踏まえた上で、合理的に
意思解釈されるものとされています。
>遺言書 :想定される相続財産についてはすべて記載し、妻に相続させる旨の記載あり
>想定される相続財産:約4億円
ということで、遺言者が全ての財産を妻に相続させる趣旨で、
当該遺言を残したものであることを妻が立証することができれば、
当該遺言の内容は、全ての財産を妻に相続させるものであり、
残余財産4000万円も妻に帰属するという判断が100%ないわ
けではありません。
ただし、遺言書にあえて「すべての財産」や「その他の財産は〜」
等の記載がないことから、残りの財産も含めて妻に相続させる
趣旨だとは考えにくい等の主張もあるでしょうから、
相続人間で争う意思があるのであれば、変わる可能性がある
程度のものとご認識ください。
よろしくお願い申し上げます。