税理士の●●です。
著作権の譲渡と帰属の違いについて教えてください。
立場の強い元請が、立場の弱い下請けに対し、
「下請が本件業務で作成した文書等の著作権は
元請に帰属する」
といった文言を契約書に入れることがあります。
この場合、下請は著作権を元請に譲渡した、と
取り扱われますでしょうか。
以下のサイトを見ると、譲渡についてきちんとした
定めをおくべき、といった趣旨を読み取れますので
両者の違いを教えてください。
https://www.bunka.go.jp/chosakuken/keiyaku_manual/1_1_2.html#Anchor-47383
https://takecyankun.hatenablog.com/entry/2017/01/28/200713
「帰属する」とあるだけで、「譲渡」については何ら条項も
対価の定めもない場合が知りたいです。
よろしくお願いいたします。
ご質問、ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。
1 ご質問
>立場の強い元請が、立場の弱い下請けに対し、
>「下請が本件業務で作成した文書等の著作権は
>元請に帰属する」
>といった文言を契約書に入れることがあります。
>この場合、下請は著作権を元請に譲渡した、と
>取り扱われますでしょうか。
>以下のサイトを見ると、譲渡についてきちんとした
>定めをおくべき、といった趣旨を読み取れますので
>両者の違いを教えてください。
>「帰属する」とあるだけで、「譲渡」については何ら条項も
>対価の定めもない場合が知りたいです。
2 回答
まず、著作権はその著作物の創作者に発生します。
(従業員が創作した場合に、会社に発生する等の
いわゆる職務著作などは除きます。)
ご指摘の「帰属する」との契約書の文言の
解釈ですが、●●先生のおっしゃる文脈でいうと、
下請けが著作物を創作し、
「著作権の発生と同時に、著作権を下請けが元請けに譲渡する」
という意味であると合理的解釈されるものになります。
(知財高判平成18年4月12日等)。
>「譲渡」については何ら条項も
>対価の定めもない場合が知りたいです。
つまり、厳密な意味では、
業務委託の報酬の対価に著作権の譲渡対価も含まれているもの
ということになります。
よろしくお願い申し上げます。