いつもお世話になりありがとうございます。
●●と申します。
商標権における不使用取消審判の考え方、また使用・利用の対価について
質問をさせてください。
(前提)
○ 法人A(化粧品製造メーカー)はいつくかの商標権を有しています。
○ 法人Aのグループ法人であるB社(同じく化粧品製造メーカーの同族法人)は
法人Aの有している商標権を利用し製品を製造し、販売します。
○ 法人Aと法人Bは商標使用に関する覚書を締結し、対価はゼロと考えています。
○ 覚書を締結するのは、商標権の権利を有しているのは法人Aなのですが、
商標を利用して化粧品を製造販売するのはグループ法人であるB社なので、
実際に 法人Aでは商標権を使用していないとして、第三者から
不使用取消審判を提起されないために、使用の対価はゼロですが、
法人Aでは商標権を使用、利用している実績が
あることを証明するために覚書を締結します。
(質問)
○ 対価ゼロであった場合、法人Aにおいて不使用取消審判を提起されるリスクは
高くなりますでしょうか。
法人Aはグループ法人B社に使用させて、グループ全体では利益を得ていると
考えられますが、商標権の使用としては対価の利益を受けていません。
対価を受けていない場合、実質的に商標権を利用、使用していないとして、
不使用取消審判を提起されてしまう可能性が高くなることはあるのでしょうか。
○ 無対価である事が問題であれば、B社はA社に商標権の使用料を支払う必要があ
ると考えますが、商標権の使用、利用の対価の相場が分かりません。
もし、商標を利用して製造する製品の売上の○%とか、
法人Aで商標権の取得や 維持に要するコストに
多少の利益を計上するくらいの対価など、永吉先生にて、
ご認識なさっている基準などがもしございましたら、お教え頂ければ幸いです。
よろしくお願いいたします。
(参考)
このサイトでは、他社に使用させていることも使用に含まれると説明されていますが
対価については記述がありませんでした。
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不使用取消審判は、一定期間使用していない他人の商標登録の取消を請求する手続で
す。
具体的には、不使用取消審判請求の日から過去3年間、日本国内で当該商標が、指定
商品又は
指定役務について使用されていない場合に当該商標の登録が取り消されるというもの
です。
それで、登録から3年も経っていない場合は、不使用には該当しません。
また、この「使用」は、商標権者自身による使用に限らず、専用使用権者や通常使
用権者が
使用している場合、つまり他者にライセンスしておりライセンシーが使用している場
合も含まれます。
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ご質問、ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。
1 ご質問
>対価ゼロであった場合、法人Aにおいて不使用取消審判を提起されるリスクは
>高くなりますでしょうか。
>法人Aはグループ法人B社に使用させて、グループ全体では利益を得ていると
>考えられますが、商標権の使用としては対価の利益を受けていません。
>対価を受けていない場合、実質的に商標権を利用、使用していないとして、
>不使用取消審判を提起されてしまう可能性が高くなることはあるのでしょうか。
2 回答
商用の不使用取消審判は、結局のところ、
一定期間使用されていない商標について、
商標権との関係で、他者が使用できないというのは
社会経済上の損失があるので、認められているものです。
使用の対価を受けていないとしても、
対価の支払いがないことを理由に、
法人Aの許諾の下、実際に法人Bが(社会的に)
使用しているということであれば、「不使用」と判断される
ことはないでしょう。
もちろん、対価が支払われていれば、
審判になった際に、説明しやすいという
ことはありますが、実際に法人Bで使用されている
証拠などもあるでしょうから、特段問題では
ないでしょう。
なお、
>不使用取消審判を提起されてしまう可能性
という意味では、対価の支払の有無は、外部
からは基本的にわからないので、
提起される可能性自体も高くなるわけでは
ないと思います。
よろしくお願い申し上げます。