お世話になります。●●です。
LLPの帳簿閲覧の範囲について確認させてください。
会社法とも関係すると思うのですが、会社法では株主は総勘定元帳などの
帳簿や契約書などの原始記録を見れるとされていると思います。
LLPの組合員についても、同様と考えてよろしいでしょうか。有限責任事業組合契約に関する法律施行規則11条や12条を見る限り、問題ないと思うのですが。
質問の趣旨として、公示みたいな感じで、例えば販管費いくらとだけ書くような、科目を集約して開示する場合もあるようなのですが、その細目(販管費のうち、通信費はいくら、家賃はいくらなど)も確認できるか、ということです。
よろしくお願いいたします。
ご質問、ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。
1 ご質問
>会社法とも関係すると思うのですが、会社法では株主は総勘定元帳などの
>帳簿や契約書などの原始記録を見れるとされていると思います。
>以下の解説もあります。
>LLPの組合員についても、同様と考えてよろしいでしょうか。
>有限責任事業組合契約に関する法律施行規則11条や12条を見る限り、問題ないと思>うのですが。
>質問の趣旨として、公示みたいな感じで、例えば販管費いくらとだけ書くような、
>科目を集約して開示する場合もあるようなのですが、その細目(販管費のうち、通信費>はいくら、家賃はいくらなど)も確認できるか、ということです。
2 回答
有限事業組合法において、
明確に組合員の閲覧請求が認められているものは、
財務諸表(貸借対照表及び損益計算書並びにこれらの附属明細書)及び組合契約書
となります(有限事業組合法31条6項)。
「会計帳簿」については、同法29条に定めがありますが、
総勘定元帳自体の作成義務自体はありますが(同法29条1項)、
閲覧請求というよりも、省令で定める方法で、
一定の場合に、一定の事項について、交付する必要があるとされているだけです
(同条29条3項、同規則12条)。
この交付対象となるものに総勘定元帳レベルのものまで
含まれるかというと条文構造上難しいでしょう。
ただし、あくまでも組合ですから、
民法上、組合員の業務及び組合財産の状況を検査権(同法56条、民法673条)
があります。
この検査権の一環として、帳簿等の閲覧が認められると考えられます。
ただ、この辺りはニュアンスを伝えるのは難しいのですが、
会社法上の帳簿閲覧請求権のようにそれ単体の請求権
(裁判レベルで訴訟物となりうるもの)というわけではなく
正当な理由がないにも関わらず、拒まれた場合に、損害賠償請求が
できる等の解釈となる可能性が高いと思われます。
上記は、組合契約に特段定めや組合規定などがないような
場合を前提にしています。
この辺りは、契約書や組合規定などでルールを定めおく(そうすれば、
具体的な請求権になる)のが通常かなとは思います。
よろしくお願い申し上げます。