いつもお世話になります。
借地を返却した後、原状回復費用を請求された場合の対処方法について教えてください。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
【前提】
約50年間、幹線道路付近の借地に自宅があった。
毎年、適正額の借地料を支払っていた。
今年1月に自宅を解体し、借地を無償返還した。
借地を返却した後、借地の地盤が軟弱だったため、多数のコンクリートパイルが埋設されていることがわかった。
地主から、コンクリートパイルの撤去を求められている。
コンクリートパイルの撤去費用は、約300万円。
建築士によると、コンクリートパイルを撤去しなくても、借地上に建物の建築は可能である。
【質問】
どうすれば、費用負担せずに問題を解決することができるでしょうか?
(1)パイルの撤去
①撤去しない方法
コンクリートパイルの撤去費用を負担しなくてもいい交渉方法はあるでしょうか?
②完全撤去しない場合
もし、地主に金銭を支払い、コンクリートパイルを残すことや、コンクリートパイルの上部をカットすることで合意する場合、
合意書のカンタンな記載例を教えていただいてもよろしいでしょうか?
(2)第三者への土地の転売
現状で、不動産屋さんに土地を購入してもらう良いアイデアはありますでしょうか?
【参考】
解体見積もり広場
https://kaitaihiroba.com/450/
ご質問、ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。
1 ご質問①〜費用負担等について〜
(1)パイル撤去について
>①撤去しない方法
>コンクリートパイルの撤去費用を負担しなくてもいい交渉方法はあるでしょうか?
そうですね。無償返還前であれば、
色々と交渉の方法があったかと思いますが、
現状の交渉としては、
無償で返還したことや
そもそも地盤が軟弱で、むしろコンクリートパイルを
撤去する必要がないことなどを材料に、
交渉していくこととなるかと思います。
今回は、原状回復義務の問題なので、
直接的な判例ではありませんが、
土地の賃借人が工事を施工し、地中に底盤コンクリートを残置したまま返還し、
賃貸人らが土地上にマンションを建築した場合、
残置による「損害」の発生が認められないとし、
賃借人の債務不履行、不法行為が否定された事例(東京地判平成24年7月6日)
などもありますので、この辺りから交渉することも
あり得るところでしょう。
この辺りの交渉は、個別事情によるところが
特に大きいので、ご相談者様のご意向があれば、
会員様の無料相談等もご利用ください。
>②完全撤去しない場合
>もし、地主に金銭を支払い、コンクリートパイルを残すことや、コンクリートパイルの上部を>カットすることで合意する場合、
>合意書のカンタンな記載例を教えていただいてもよろしいでしょうか?
例えば、
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甲(貸主)及び乙(借主)は
乙が甲に対して、202●年●月●日までに金●●円を支払うことを
条件に、甲は乙が本件土地に埋設されたコンクリートパイルを残置させることを
承諾したことを確認する。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
や
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甲は、乙が行うコンクリートパイル原状回復については、別紙記載の
方法で足りることを承諾し、その費用は乙が負担するものとする。
※別紙で、実際の工事方法などについて、業者等から
資料をもらい添付して下さい。
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などになるかと存じます。
原状回復で揉めている場合には、残置させる方法は別として、
その方法が明確になるように別紙等でその方法を明らかにした方が
良いでしょう。
2 ご質問②〜土地の売買について
>(2)第三者への土地の転売
>現状で、不動産屋さんに土地を購入してもらう良いアイデアはありますでしょうか?
そうですね。あくまでも、土地の売却については、
賃貸人(土地の所有者)が決定することになりますので、
売却してもらうように働きかける等の方法をとるほか
ないように思います。
よろしくお願い申し上げます。