いつも大変お世話になっております。税理士の●●です。
【前提】
相談者A(歯科医師)の配偶者B(歯科医師)の父Cが経営する歯科医院に勤
務しています。
AとBはCが経営する歯科医院内で働いておらず、院外で訪問診療を行ってい
ます。本来なら別々に経営を行うべきですが、保険点数の関係でそういう形を
取っています。
AとBの訪問診療報酬はCの診療報酬と一緒にCの口座に振り込まれています。
毎月Aが訪問診療報酬明細から算定したAとBの報酬分明細をCに渡して署名
押印していただいてCの通帳から報酬分をいただいています。
この一連の流れについてはCに説明して納得していただいています。
【質問】
Cが難癖をつけてAとBの報酬分を渡そうとしません。
難癖の内容は、Bが家を出るときにお金を貸したのに返してくれていないとい
ったことです。
AとBはCの歯科医院とは別に職員を採用して給料を払っています。
Cの口座に入っているAとBの訪問診療報酬を法的手段でもって引き出すこと
は可能でしょうか。当然、BとCは親子なので法的手段を取らないで済む方法
があればそうしたい気持ちはあるようです。
よろしくお願いいたします。
ご質問、ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。
1 ご質問
>Cが難癖をつけてAとBの報酬分を渡そうとしません。
>難癖の内容は、Bが家を出るときにお金を貸したのに返してくれていないとい
>ったことです。
>AとBはCの歯科医院とは別に職員を採用して給料を払っています。
>Cの口座に入っているAとBの訪問診療報酬を法的手段でもって引き出すこと
>は可能でしょうか。当然、BとCは親子なので法的手段を取らないで済む方法
>があればそうしたい気持ちはあるようです。
いただいた情報のみでは判断できませんが、
>AとBはCが経営する歯科医院内で働いておらず、院外で訪問診療を行ってい
>ます。本来なら別々に経営を行うべきですが、保険点数の関係でそういう形を
>取っています。
>AとBはCの歯科医院とは別に職員を採用して給料を払っています。
この辺り、医療法との関係も気になりましたが、
その点はおいて回答します。
2 回答
あくまでも、診療報酬がCに帰属している
ということですと、AとB(以下Aら)は、
Cとの契約に基づいて、金銭の請求を
し、任意で支払ってもらえないということで
したら、裁判により、債務名義(勝訴判決または
裁判上の和解等)を得て、強制執行する
ことが必要となります。
つまり、AらとCの合意がどのようなもの
であったのかという点を裁判で立証できるか
ということになります。
>AとBの訪問診療報酬はCの診療報酬と一緒にCの口座に振り込まれています。
>毎月Aが訪問診療報酬明細から算定したAとBの報酬分明細をCに渡して署名
>押印していただいてCの通帳から報酬分をいただいています。
>この一連の流れについてはCに説明して納得していただいています。
この一連の流れがある程度の期間、安定的に継続しており、
証拠関係から訪問診療報酬相当額が報酬等として
Cが支払うことを合意していたと認められる
ということであれば、請求自体は認められるでしょう。
ただし、
>難癖の内容は、Bが家を出るときにお金を貸したのに返してくれていないとい
>ったことです。
裁判になれば、Cが主張すれば、
相殺の主張として、貸付があったのか否かも争点となります。
貸付けがあり、返済されていないということですと
上記の合意が認められたとしても、その金額から
貸付相当額が相殺されることとなります。
>本来なら別々に経営を行うべきですが、保険点数の関係でそういう形を
>取っています。
どこかの帳尻を合わせるためにテクニカルな
ことをすると、一方で、今回のようなリスクも負う
ことにはなりますので、注意が必要です。
よろしくお願い申し上げます。