いつもお世話になっております。
税理士の●●です。
不動産購入時のトラブルへの対応についてご教示お願いします。
【概要】
・当方は買主
・契約条項のうち本件に該当する部分
①売主は、買主に本物件引渡しのときまでに、隣地との境界を現地において明示する。
②売主及び買主は本物件の対象面積を標記面積とし、実測面積との間に差異が生じても互いに異議を申し立てないとともに、売買代金の請求をしないものとする。
③売主の費用負担において、隣地境界の確認と確定測量図を作成し買主に提出する。
④隣地との越境については、売主において解消又は覚書の締結を行う。
・既に引渡しは完了しているが今日時点で確定測量が完了していないため境界の明示は行われていない。
・隣地との間に複数越境が見られるが仲介業者と売主からの告知はなし。
【ご質問】
1.確定測量をした結果、公簿面積よりも15㎡減少することが引き渡し後に分かりました。
減少する理由は以前確定測量した土地家屋調査士のミスによるものとのことです。
公簿売買なので仲介業者や売主には責任を追及するのは難しいでしょうか。
2.1に関連して引渡しのときに境界明示も行われずまた越境の告知も受けておりません。
仲介業者も越境の確認をせず私が事後に立ち会って越境の事実を発見した状況です。
少なくても現況の測量図や境界標を確認すれば越境の事実や面積に違和感を感じると思うのですが、
特に越境の告知をしなかったことについて仲介業者に責任を問うのは難しいでしょうか。
3.重要事項説明書の確定測量図の欄に引渡日までに測量するの欄にチェックが入っていますが、 本日時点で最新の確定測量図を受け取っていません。
受け取っていたならば上記面積減少の問題も生じなかったと思いますが、
この確定測量図の引き渡しが完了していない点について、売主と仲介業者に責任を問うことは可能でしょうか。
ご質問、ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。
1 ご質問①〜公簿売買と実測面積の違いの損害賠償について
>確定測量をした結果、公簿面積よりも15㎡減少することが引き渡し後に分かりました。
>減少する理由は以前確定測量した土地家屋調査士のミスによるものとのことです。
>公簿売買なので仲介業者や売主には責任を追及するのは難しいでしょうか。
契約書に
>②売主及び買主は本物件の対象面積を標記面積とし、実測面積との間に差異が生じて
>も互いに異議を申し立てないとともに、売買代金の請求をしないものとする。
という条項があるということですと、ご指摘のとおり、原則として
責任追及をすることは難しいです(標記面積=公簿の場合)。
ただ、今回の事例によっては、買主がよく理解せずに契約したことや
あまりにも誤差が激しいというケースであれば、損害賠償または契約を錯誤などに
より取消しが可能な場合も0ではないでしょう。
いただいた情報では、その面積が今回の売買に与える影響や契約の経緯
等がわかりかねますが、可能性は低いですが、可能性は0ではないという
ことしか申し上げ難いところです。
また、
>③売主の費用負担において、隣地境界の確認と確定測量図を作成し買主に提出する。
これが、売買(所有権の移転)の条件等に該当するのか、
または事後的な提出で足りる趣旨であったのかなど、該当部分の切り抜き
ですと、なんともいえない部分が残ります。
仲介業者には、売主とは別に、善管注意義務違反があるのか
というところになり得るので、こちらも仲介業者のやりとりの
経緯等を確認する必要があるかと存じます。
2 ご質問②〜境界の明示と越境の事実について
>1に関連して引渡しのときに境界明示も行われずまた越境の告知も受けておりません。
>仲介業者も越境の確認をせず私が事後に立ち会って越境の事実を発見した状況です。
>少なくても現況の測量図や境界標を確認すれば越境の事実や面積に違和感を感じると思うのですが、
>特に越境の告知をしなかったことについて仲介業者に責任を問うのは難しいでしょうか。
上記のとおり、仲介業者との関係は、仲介業者との契約に
より、善管注意義務違反があるかという点です。
今回は、そのうち説明義務違反が問題になろうかと思います。
仲介業者が越境の事実等を知っていたか、容易に知ることができた
のであれば、説明義務の一環として、境界明示や越境の告知を行う義務
を負うことになります(東京地判平成19年3月26日、東京地判平成25年1月31日等)。
この場合の損害額の算定については、この越境の説明が
なかったことにより生じた損害ということになります。
これも売買契約書の全体の越境対応の位置づけにも
よるところですが、一般的には買主が越境を解消するのに要した
費用等になることが多いです。
3 ご質問③〜確定測量の引き渡しについて
>重要事項説明書の確定測量図の欄に引渡日までに測量するの欄にチェックが入っていますが
>本日時点で最新の確定測量図を受け取っていません。
>受け取っていたならば上記面積減少の問題も生じなかったと思いますが、
>この確定測量図の引き渡しが完了していない点について、売主と仲介業者に責任を問うことは可能でしょうか。
そうですね。これについては、繰り返しになり恐縮ですが、
確定測量図の引渡しが売買全体にどのような位置づけになるのか
という点に依存する問題かと思います。
(確定測量を自らがしてその費用を請求する等は可能だと思われますが。)
>受け取っていたならば上記面積減少の問題も生じなかったと思いますが、
とのことですが、契約書で、公簿売買をしており、
結局、確定測量図の引渡しにより面積減少を知ったからといって、
契約をなかったことにできた(解除等)のか、売買価格を増額
させることができたのか等に依存する問題かと思います。
この辺りは、メールのみでは判断が難しいところかと存じます。
4 今後について
不動産売買における対象物の瑕疵(契約不適合)、
の損害賠償には除斥期間(1年等)などがありますので、
責任の追及等を検討されるのであれば、
弊社の会員様限定の無料面談でも良いですし、お近くや
お客様のお知り合いの弁護士でも良いので、
お早めに具体的な各契約書類や資料、やりとりがわかる資料を
持参の上、ご相談いただいた方が良いものと思います。
経緯や証拠なども関連しますし、
この辺りの対応は個々の事情によるところが
大きいので、お客様に直接ヒアリングできる形で
ご相談されることをおすすめします。
よろしくお願い申し上げます。