いつもお世話になっております。
税理士の●●と申します。
遺産であるA土地の遺産分割協議が確定した日とは、次のうちでどちらの
時点になるのかをご教示ください。
共同相続人:甲、乙の2名
(1) 〇1年12月15日 : A土地は甲が相続することで甲と乙が合意した。
(2) ○2年3月20日 : 上記A土地を含む遺産全体の遺産分割協議書を
作成し、甲・乙が署名押印した(3/20付)。
上記(1)の日付でA土地の遺産分割協議が確定していることにしたい場合、
上記(2)の日付でA土地を含む遺産分割協議書を作成することは法律的に
正しくない行為でしょうか?
(その場合は、A土地とその他の財産で、別の遺産分割協議書を作成すべき
でしょうか?)
以上、よろしくご指導お願い申し上げます。
ご質問ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。
1 ご質問
>遺産であるA土地の遺産分割協議が確定した日とは、次のうちでどちらの
>時点になるのかをご教示ください。
>共同相続人:甲、乙の2名
>(1)〇1年12月15日:A土地は甲が相続することで甲と乙が合意した。
>(2)○2年3月20日 :上記A土地を含む遺産全体の遺産分割協議書を
作成し、甲・乙が署名押印した(3/20付)。
>上記(1)の日付でA土地の遺産分割協議が確定していることにしたい場合、
>上記(2)の日付でA土地を含む遺産分割協議書を作成することは法律的に
>正しくない行為でしょうか?
>(その場合は、A土地とその他の財産で、別の遺産分割協議書を作成すべき
>でしょうか?)
前提として、ご質問の「確定した」という意味は、
不動産の賃料等が法定相続分ではなく、甲に帰属するように
なるタイミングという趣旨でよろしかったでしょうか。
(疑問に思われている場面により意味合いが異なってきますので
確認です。)
以下、その前提で回答します。
2 回答
遺産分割協議書は、あくまでもそのような遺産分割があったことの
証拠であって、遺産分割は口頭の合意でも成立はします。
そういう意味では、遺産分割協議書がなくとも、その他の証拠から
>(1)〇1年12月15日:A土地は甲が相続することで甲と乙が合意した。
と認定できるのであれば、(1)が「確定した日」と言えるでしょう。
ただし、遺産分割協議書がない場合、このような事実認定は
なかなか難しいところです。したがってそれを証明するために
遺産分割協議書を作成するということになります。
>上記(1)の日付でA土地の遺産分割協議が確定していることにしたい場合、
>上記(2)の日付でA土地を含む遺産分割協議書を作成することは法律的に
>正しくない行為でしょうか?
>(その場合は、A土地とその他の財産で、別の遺産分割協議書を作成すべき
>でしょうか?)
仮に、(2)の日付でA土地を含む遺産分割協議書を
作成すれば、事実認定としては、(2)の日付が「確定した日」
とされてしまうでしょう。
一方で、
例えば、(2)の日付でA土地を含む遺産分割協議書を作成し、
その中で、「A土地については、〇1年12月15日において、
甲が取得する一部分割があったことを確認する。」とすることは
可能です。ただ、これが税務上どのように評価されるかは、
真実「〇1年12月15日」に一部分割があったか否かに
よることになります。ですので、他の証拠関係からのそのように
言える資料・証拠を備えることができているのかが重要です。
理想的なのは、もちろん、
〇1年12月15日にその日付のA土地の一部分割の協議書を作成し、
〇2年3月20日に残りの財産について遺産分割協議書がある
状態です。
よろしくお願い申し上げます。