株式 会社法

種類株式(優先株式)の発行規制等の有無

永吉先生

お世話になっております。
種類株式(優先株式)の発行金額・割合等に規制や留意点があるかご質問させて頂けますでしょうか。

【前提】
・資産運用会社が、運転資金(人件費や宣伝活動費)を顧客から支援してもらう話が出た。
運用会社は、優先株式を引受けてもらうことを提案した。

・現時点の運用会社の資本金は5百万円。
ここで、顧客に優先株式90百万円の募集要項案を提示したところ、
「普通株5百万円に対し、優先株90百万円は問題になるのでは?」
との指摘があった。
具体的に何が問題なのかまでは把握できなかった。

【ご質問】
①種類株式(優先株式)の発行金額や比率が普通株式に対して大きいことについて、会社法その他の規制はありますでしょうか?

②法規制以外に、優先株式の割合等が大きい場合の実務上の弊害や留意点をご存じでしたらご教示頂けますでしょうか。

曖昧なご質問で大変恐縮ですが宜しくお願い申し上げます。

●●先生

ご質問、ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。

1 ご質問①〜優先株式の発行金額や比率が大きいことについて

>①種類株式(優先株式)の発行金額や比率が普通株式に対して大きいこと
>について、会社法その他の規制はありますでしょうか?

>優先株式
というのは、配当優先株式という前提で回答します。

特段規制はありませんので、法律上問題ありません。

なお、
>現時点の運用会社の資本金は5百万円。
>「普通株5百万円に対し、優先株90百万円は問題になるのでは?」

とのご指摘ですが、資本金は当時の出資金額に過ぎず、
現在の株式価値とはあまり関係ないので、
そもそも資本金と比べても、発行金額が高いかどうかの
判断もできないと思います。

2 ご質問②〜優先株式の割合等が大きい場合の実務上の弊害や留意点〜

>②法規制以外に、優先株式の割合等が大きい場合の実務上の弊害や
>留意点をご存じでしたらご教示頂けますでしょうか。

単純な優先配当株式の場合には、
配当をだすケースであれば、優先配当株主に
その内容に応じて、分配しない限り、普通株主に
配当できないという当たり前の問題はあります。

仮に、無議決権株式にしない場合には、
当然ですが、優先配当株式の株式数が議決権数
となりますので、比率によっては取引先に
会社の支配権が取られてしまうことになります。

おそらく、優先配当かつ無議決権株式とするのか
と予想していますが、無議決権株式であったとしても、
少数株主権(会計帳簿の閲覧謄写請求権等)の
多くは生じますので、この点も踏まえた上で、
出資を受け入れるかを判断された方が良いでしょう。