税理士賠償責任

税理士の責任限定契約書の記載について

永吉先生

いつもお世話になっております。税理士の●●と申します。
業務委託契約(顧問契約)の責任限定についてご教示いただけないでしょうか。

半年ごとに顧問契約を更新しており、期間と損害賠償としては以下のとおり記述して
おります。

第7条(損害賠償)
乙が本契約に基づいて行った本件委託業務について、乙の過失により甲が損害を受
けたときは、乙は甲より受けた本件委託業務にかかる報酬の額を限度として損害を負
担するものとする。
第8条(有効期間)
本契約の有効期間は、2020年10月1日より2021年3月31日までとする。ただし、甲と
乙との協議により、あらためて契約することで期間延長できるものとする。

【質問】
(1)半年ごとに8条の有効期間を更新した契約を締結し続ける予定なのですが、その場
合、損害賠償の上限は半年間の報酬が限度となるという理解で正しいでしょうか。そ
れとも、例えば3回更新すると合計で2年間顧問契約を締結している状況となります
が、2年間の報酬が損害賠償の上限となるという形で「本件委託業務にかかる報酬の
額」も累積していくのでしょうか?
(2)上記が累積していく場合には、累積しないようにするためにはどのような記述を
追加すべきでしょうか?

お手数をおかけいたしますが、どうぞよろしくお願いいたします。

●●先生

ご質問、ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。

1 ご質問

>(1)半年ごとに8条の有効期間を更新した契約を締結し続ける予定なの
>ですが、その場合、損害賠償の上限は半年間の報酬が限度となる
>という理解で正しいでしょうか。それとも、例えば3回更新すると
>合計で2年間顧問契約を締結している状況となりますが、
>2年間の報酬が損害賠償の上限となるという形で「本件委託業務にかかる報
>酬の額」も累積していくのでしょうか?
>(2)上記が累積していく場合には、累積しないようにするためにはどのような
>記述を追加すべきでしょうか?

2 回答

そうですね。上記の記載ですと
疑義が残りますので、

例えば、私が会員の皆様に配布している雛形では、

「⼄は甲より受けた本件委託業務にかかる2年分(本契約違反時の属す
る年度及びその前年度のもの)の報酬の額を限度として」
等として、期間で区切りを入れております。

なお、説明書等で、従前より申し上げているところですが、
この規定があったとしても、重過失があるなどの
個別事情によっては、信義則上適用がされない
というケースもありますので、この規定があれば、
安心というものではないことはご注意ください。

ただし、裁判に至らない紛争の早期解決等の
基準になることもありますので、いれておいて
良いというのが私の見解です。

よろしくお願い申し上げます。