お世話になっております。
株式会社における監査役の監査の実効性の確保の観点から、監査役の各人別報酬の決定には、取締役の関与は認めていないという理解です。
そのため、(監査役報酬の総枠は株主総会で決議したうえで、その範囲で)監査役の各人別報酬については監査役が決定しているのですが、当該決定後、当該各人別の監査役報酬を取締役会に報告しているという会社があります。
当該会社はIPOを目指しているのですが、当該会社の顧問弁護士の先生から、各人別の監査役報酬を取締役会へ報告することも、会社法的にはよろしくないという指摘がありました。
(質問)
1.上場会社の監査役を務めていた方が当該会社におり、その方の経験からそのような運用(各人別の監査役報酬の取締役会への報告)を過去してきたとのことなのですが、やはり会社法的には問題がある運用なのでしょうか?
2.問題がある運用だとしますと、どういった理由によるものなのでしょうか?
よろしくお願いいたします。
ご質問、ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。
1 ご質問
>1.当該会社の顧問弁護士の先生から、各人別の監査役報酬を取締役会へ報告すること
>も、会社法的にはよろしくないという指摘がありました。
>2 .上場会社の監査役を務めていた方が当該会社におり、その方の経験からそのような
>運用(各人別の監査役報酬の取締役会への報告)を過去してきたとのこと
>なのですが、やはり会社法的には問題がある運用なのでしょうか?
2 回答
顧問弁護士さんの指摘としては、
監査役の取締役からの独立性が保たれなくなる
おそれがあるというニュアンスの指摘なのかなとは思います。
ただ、報酬決定のプロセスについての規制を会社法は設けて
ますが、結果について取締役に報告することが問題がある
としてしまうと、例えば代表取締役すら各人の監査役報酬を
知らないことが望ましいということになると思いますが、
むしろ問題があるように思います。
(定期同額の判断などができないですし)
顧問弁護士さんの指摘のニュアンスが分からないので
なんとも言えませんが、
あえて、取締役「会」に報告した「書面」(議事録)等を作る
必要はない(独立性に疑いを持たれても嫌ですし)という程度の
指摘なら一応、意味はわかりますが、
「会社法的に問題がある運用」とまではいえないとは思いますね。
よろしくお願い申し上げます。