税理士の●●です、お世話になります。
顧問契約解除通知書の作成に関連して教えて下さい。
(状況)
〇 この度、顧問先A社の社長から信頼関係を損なうような言動があり(以前からも何度か
理不尽な言動があった)、A社との顧問契約を解除する事を決断。
〇 3月末に、5月末をもって契約を解除する旨の通知書を面談の上で手渡したい。
〇 A社(6月30日決算)と顧問契約書あり(永吉先生提供の法人用顧問契約書雛形使用)
〇 顧問契約書(解約条項)第12条第1項に「本契約期間中であっても、解約の2ケ月前
までに書面により相手方に申し出ることにより、本契約を将来に向かって解除すること
ができる。」と規定あり。
〇 契約受任業務は、月次業務(試算表、元帳の作成)と決算申告業務。
〇 契約解除の撤回は考えられないので、後々相手方に突っ込まれたり、揉めたりしない
契約解除通知書を作成したい。
(質問)
〇 6月末決算、8月末確定申告となりますが、民法第651条第2項の「相手方の不利な時期
の解除」にはあたらないですね。
〇 即時解除ではないので、解除事由は明記しなくても良いですか。
〇 解除通知書に書こうと思っている事は
①御社との顧問契約(●年●月●日付)を顧問契約書第12条第1項に従い、令和3年5月
末をもって解除する。
②御社の決算に向けて早めに次の税理士と契約してほしい。
③要請があれば、新任の税理士に書類データの引継ぎは行う。
④2ケ月分(4,5月)の顧問料は請求しない。
⑤1~3月分の顧問料も、月次業務が終わらなければ請求しない。(令2年12月分まで
月次業務終了済。現在会社から1月以降のデータの提供は無い)
〇 以上の内容についてどう思われますか。他に何か留意すべき事がありましたら教えて
下さい。
〇 顧問契約書の解約条項と民法第651条からして、法的に問題となるこては基本的に
無いと考えますが。
〇 4,5月、2ケ月間関与が継続した場合、月次データが来ないなどの対応として、会社
からの連絡待ちで良いですね。(通常月次データは会社からの連絡待ちでした)
〇 これまで合意解除の場合の書式は、永吉先生提供の書式雛形を使用させて頂いております。
恐縮ですが、参考までに顧問契約解除通知書の文例雛形等を示していただければ幸いです。
以上、よろしくお願い致します。
ご質問ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。
1 ご質問①〜不利な時期か〜
>〇 6月末決算、8月末確定申告となりますが、
>民法第651条第2項の「相手方の不利な時期の解除」にはあたらないですね。
そうですね。3月末に通知書を送るということですので、
申告期限まで5ヶ月あります。
他の税理士の方を探すには十分な時間と言えますので、
法的に、「不利な時期」とは言えないでしょう。
2 ご質問②〜解除事由の明記について〜
>〇 即時解除ではないので、解除事由は明記しなくても良いですか。
はい。事由自体の明記は必要ありません。
3 ご質問③〜記載事項について〜
>〇 解除通知書に書こうと思っている事は
>①御社との顧問契約(●年●月●日付)を顧問契約書第12条第1項に従い、
>令和3年5月
>末をもって解除する。
>②御社の決算に向けて早めに次の税理士と契約してほしい。
>③要請があれば、新任の税理士に書類データの引継ぎは行う。
>④2ケ月分(4,5月)の顧問料は請求しない。
>⑤1~3月分の顧問料も、月次業務が終わらなければ請求しない。
>(令2年12月分まで
>月次業務終了済。現在会社から1月以降のデータの提供は無い)
>以上の内容についてどう思われますか。他に何か留意すべき事がありました
>ら教えて下さい。
基本的に解除通知ということでしたら、
①のみの記載で良いかと思いますが、
②については、記載しても良いかと
思います。
もちろん、先生のご想定の記載事項で
先方から何のクレームもつかないないなら良いのですが、
合意書等でなく、一方的に法的な効力を
生じされる通知などの場合、
一般論としては、通知後の相手方の反応がわからないので
あまり余事記載はしない方がベターです。
ですので、
③、④、⑤については、
現段階では、相手の反応を見て、
口頭で説明する形でも良いのではないかと思います。
仮に解除に対して、先方がクレームをつけて
きた場合等に、③、④、⑤の説明をして
納得してもらうという形も想定されるからです。
つまり、最初から解除の効果とは関連ない
事項を譲ってしまうとクレームもそれを前提に
したものになってくることが経験上は、多いかというイメージです。
4 ご質問④〜月次データの対応について
>4,5月、2ケ月間関与が継続した場合、月次データが来ないなどの対応と
>して、会社からの連絡待ちで良いですね。
>(通常月次データは会社からの連絡待ちでした)
できれば、解除の話をして合意で解除ができるのであれば、
3月末で解除(ないしは、1〜3月分の顧問料を請求しない代わりに
業務も行わないという合意も)というのがベターかと思いますが、
(この点は先生のご意向にもよるところです。)
契約書12条1項の解除通知の場合、効力の発生はあくまでも、
5月末ということなので、先生の業務を行う義務は生じています。
基本的には、データがこなければ作業もできないということに
なりますが、その義務を解消するには、月次データをいついつまでに
提供するように催告し、それでも提供がない場合には、債務不履行解除をする必要があります。
通常のケースですと、顧問料の請求をしなければ、相手も
この業務をしろとは言ってこないことも多いので、
債務不履行の解除通知までするケースは多くはないと思いますが、
この辺りも、先方の反応を見てからということになるでしょう。
5 ご質問⑤〜解除通知書の文案について
>〇 これまで合意解除の場合の書式は、永吉先生提供の書式雛形を使用させて
>頂いております。
>恐縮ですが、参考までに顧問契約解除通知書の文例雛形等を示していただけ
>れば幸いです。
一方的な解除通知書については、ケースや理由によりまちまちですので、
雛形化すると誤用のおそれも高いので、雛形としての提供はしていない
のですが、
今回のご質問の顧問契約書第12条第1項に基づく解除という
ことでしたら、
一般的事項として宛名、通知人の名称及び住所、通知日を記載した上で
「当書面により、御社との●年●月●日付け顧問契約を、顧問契約書第12条第1項に基づき令和3年5月末日をもって解除することを通知いたします。」
と記載すれば良いということになります。
よろしくお願い申し上げます。