税理士の守秘義務

永吉先生、お世話になります。

関与先に対する税理士の守秘義務に関連して、
大まかな内容で恐縮ですが、教えて下さい。

少々くだいてお話します。

(前提)
・A社、B社、両社共に私が顧問税理士。
・A社B社とも私が両社の顧問税理士である事を知っている。
・A社とB社に取引関係あり
・C社~ B社の新規取引先

(状況)
・AはBとB商品の独占販売契約中(契約期限今年の9月末まで)

・ここ1年近くAはB商品(1件当り売上大きい)の販売実績なし

・Bは先月2月にCとB商品の販売契約締結(CはBからAとの契約の事
は知らされていないよう)

・私はAとBそれぞれの経理指導時にA×Bの契約について
会社側から説明を受けているし、契約書のコピーももらっている。
私が、ABを紹介したわけでは無い。

・BとCとの販売契約の事はいずれAが知ることになった場合、
AB間でトラブルになる可能性が有る。

・私はB社長に現状ではCとの契約はまずいのではないのかと、
話をしましたが聞いてもらえない。(B社長は契約遵守精神に欠け気味のワンマン社長)

以上の状況で

(質問)
・このまま成り行きを傍観していていいのか
私としてはAが損害を受ける(受ける可能性が有る)のを黙って見ていていいのか

・もしAからBに関して質問があれば、答えなければならないのか、

・Aが損害を受けた場合、対Aで私に責任は生じるのか

・私からB×Cの事をAに話して問題はないか

・でもBに対して守秘義務違反にならないか・・・(ABとも永吉先生の契約書式使用、

第8条秘密保持条項)

・結果としてBともまずいことになるかもしれない

・私としてはAB間の板挟みになるのを避けたい。Aとの関係を重視したい。
との思いがあります。利益相反的な考えからBとの契約解除の可能性も
考えていますが、解除理由となりますか。なるのであれば契約解除の
通知文例を参考まで教えていただければと思います。

・他にBとの契約解除方法は考えれますか

・AB間のトラブルに巻き込まれないため、何か助言、アドバイスなど
ありましたら宜しくお願い致します。

●●先生

ご質問、ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。

1 ご質問①〜損害賠償と守秘義務違反

>・このまま成り行きを傍観していていいのか
>私としてはAが損害を受ける(受ける可能性が有る)のを黙って見ていて
>いいのか
>・もしAからBに関して質問があれば、答えなければならないのか、
>・Aが損害を受けた場合、対Aで私に責任は生じるのか
>・私からB×Cの事をAに話して問題はないか
>・でもBに対して守秘義務違反にならないか・・・

一種の利益相反のような形ですが、
Aが損害を受けたとしても、税理士の先生が
法的な責任を負うことはないでしょう。

むしろ、仮にAに伝えてしまえば、
明らかに税理士法上の守秘義務違反(税理士法38条)
となってしまうでしょう。
(秘密保持条項は、法律上、負うものを上記を明示しているに過ぎません)

いただいた状況で、Aに伝えることは、Bとの
関係で、「正当な理由」とはならないでしょう。

2 ご質問②〜解除について

>私としてはAB間の板挟みになるのを避けたい。Aとの関係を重視したい。
>との思いがあります。利益相反的な考えからBとの契約解除の可能性も
>考えていますが、解除理由となりますか。なるのであれば契約解除の
>通知文例を参考まで教えていただければと思います。

まず、Bの行為が、債務不履行を根拠とする契約の一方的解除が
認められる事由となるのかという点からすると、これは
あたらないでしょう。

BとAの相対的な契約の話であり、
税理士の先生とBとの契約に影響を及ぼすものではないからです。

>・他にBとの契約解除方法は考えれますか

債務不履行ではなく、一般的な委任契約の解除をすることは可能です
(民法651条1項)。

ただし、Bの不利な時期に委任を解除した際には、「やむを得ない事由」が
ない限り、損害を賠償しなくてはなりません。

基本的に税理士の先生の顧問契約の場合は、申告期の直前(決算期後等)である
等でなければ、「不利な時期」とはされないケースが多いでしょう。

なお、「やむを得ない事由」については認められないでしょう。

また、特に気をつけていただきたいのは、
仮に契約を解除したとしても、守秘義務が消滅するわけでは
ありませんので、Aに事情を伝えると守秘義務違反となります。
(特にトラブルになった際には、Bに勘ぐられます。)

3 ご質問③〜対策について

>・AB間のトラブルに巻き込まれないため、何か助言、アドバイスなど
>ありましたら宜しくお願い致します。

そうですね。士業であれば、このようなケースはあるかと
思います(弁護士の場合、両者に対するアドバイスが明確に禁止
されてますので、事前にこのようなケースは相談に乗ることは
できない旨を契約書等に入れておくのですが)。

確かに、Aのためにというお気持ちも理解できますが、
Bともプロとして契約をした以上は、義務も負いますので、
Aには伝えることはできません。

Bと今後契約を続けるかについては、Aではなく、
先生とBとの関係で考えるしかないかと思います。
(先生がそのようなBと契約を続けたくないと
思うのであれば、解除する方向で話を進める
ということで良いと思います。その場合には、Bの
行為を根拠とするのではなく、
通常の顧問契約を解約する方法で行うことです。)

AとBが後にトラブルになり、Aから先生が
なんで教えてくれなかったんだと思われたとしても、
それはやむを得ないことですし、

一方、BからAに伝えたと勘繰られたとしても、
実際にAに伝えていないので、その旨回答する他
ありません。

対応としては、先生はあくまでも両者と一旦は契約
した以上は、中立な立場として、しっかりと義務を
守ることかと存じます。

そして、義務を履行している以上、毅然と対応
すれば問題ありません。

すっきりしない気持ちは重々わかります。
ただ、AとBがトラブルとなると問題が顕在化しますので、
その際に実際に先生がAに情報を伝えてしまっていた
という状況は、避けなければなりません。

よろしくお願い申し上げます。

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