いつも大変お世話になっております。税理士の●●です。
【前提】
高齢の母(以下Aとする)が公正証書遺言を作成しています。
内容は、推定相続人の長男(以下Bとする)に全てを相続させるという内容です。
推定相続人はBと長女(以下Cとする)で、二人とも70代です。
相続財産の大半は一等地にある百坪ほどの土地です。
Aの夫は50代で他界しており、歯科医師であるBがCの私立歯科大学の
学費約5千万円を出しているそうです。
【質問】
Bが50年以上前に負担した学費約5千万円をAに対する貸付金という形で証明書は作れるでしょうか。
よろしくお願いいたします。
ご質問、ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。
1 ご質問
>【質問】
>Bが50年以上前に負担した学費約5千万円をAに対する貸付金という
>形で証明書は作れるでしょうか。
2 回答
民事上は、例えば、BとAの合意書で、
過去に支払ったCの学費相当額約5000万円は、
BからAに貸付られたものであり、Aが返還債務を
負うことを相互に確認する等の内容のものを
締結すれば、AはBに対して、返還債務を負うこととなります。
(もちろん、Aが内容等を認識する能力があることを
前提としますし、真実その意思があったことを前提とします。)
ただし、税務上は、仮に実際に学費が支払われ際に、
BからAへの贈与後、AからCの学費支払いであったにも関わらず、
上記のような合意書を締結すれば、締結時点で、
BからAへの贈与としてみなされて、贈与税が発生することとなります。
(または上記の合意は仮装されたもので無効として、相続税
の債務控除はできないとされる可能性もあります。)
その場合、重加算税の対象行為にもなり得るので、注意が必要です。
例えば、
50年以上前でBがAに対して、一切請求をしていない
ことや親子関係で、その当時の学費の支払いがAへの貸付
である(Cへの貸付であればまだしも)というのは、
かなり不自然なため、本当に貸付の意思であったならばまだしも、
そうでないケースで行うことは課税上はリスクが高いものとは思います。
よろしくお願い申し上げます。