いつもお世話になっております。
●●です。
弊社の新しいクライアントが前の税理士法人から次の書類に記名捺印を求められてい
ます。
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債権債務不存在の確認書
本日、〇〇〇〇(以下、甲【クライアント】という。)と税理士法人△△△△(以下、
乙という。)は 税務顧問契約を解消し、甲乙間には何らの債権債務も存しないことを相互に確認す
る。
本確認書の証として本書を2通作成し、記名押印の上、各々1通を保管するものとす
る。
令和2年12月 日【日付は空欄】
【】は私が加筆しました。
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私個人としては、
最初はお互い債権債務がないことの確認は
クライアントにとっても後から追加請求などのリスクがないので良いかな。
とは思ったのですが、一点気になったことがあります。
税理士は税理士賠償の責任があります。
その責任まで、この債権債務不存在の確認書で消滅してしまうのでしょうか。
そうであれば、クライアントは記名押印するメリットよりもデメリットのが大きいの
で、断りましょう。
とアドバイスするつもりです。
会社は優良でもちろん前税理士法人に顧問料の滞納などはありません。
よろしくお願いいたします。
ご質問、ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。
1 ご質問
>私個人としては、
>最初はお互い債権債務がないことの確認は
>クライアントにとっても後から追加請求などのリスクがないので良いかな。
>とは思ったのですが、一点気になったことがあります。
>税理士は税理士賠償の責任があります。
>その責任まで、この債権債務不存在の確認書で消滅してしまうのでしょうか。
>そうであれば、クライアントは記名押印するメリットよりもデメリットのが大きいの
>で、断りましょう。とアドバイスするつもりです。
2 回答
税理士さんを守る立場であれば、紛争化リスク等を
減らすため、ご質問のような清算条項を含む確認書を
締結することをお勧めしています。
(やはり、一定数、契約終了後に面倒を起こすお客様も
いらっしゃいますので。)
一方で、お客様の立場からすると、おっしゃる通り、
引継義務や将来、過去の問合せ等が必要になった際に、
問い合わせをしても、回答する義務はないと言われて
しまうこととなり、不利になることが多いと思います。
税理士賠償責任については、この清算条項があったとしても、
合意の前提となる重大な事実に錯誤がある(税賠事由がないものと
認識していたにも関わらず、存在した)として、
お客様の立場から錯誤取消を主張することで、
合意に取消事由があることから、合意を取消し、
損害賠償請求をすること自体が完全に塞がれるわけではありません。
ただ、立証面などで、錯誤取消が認められなければ、
税理士賠償請求ができないこととなりますので、
立証のハードルは高くなることは間違いありません。