お世話になります。
以下の事例が、利益相反取引に該当し、
将来、不利益処分を受ける可能性について教えてください。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
【前提】
中小企業である建設業の株式の一部をオーナーから子どもに贈与したい。
子どもは、上記企業の工事の発注元の市町村の職員、高校の教員。
市町村職員の子どもは、工事の発注元である市町村の三役や現場監督になる可能性がある。
【質問】
(1)利益相反取引の該当性について
①市町村に勤務する子ども
子どもが市町村の三役や現場監督になった場合、
子どもは、発注元と受注先の関係から利益相反取引に該当する、
と認定されると考えてよろしいでしょうか?
②高校の教員の子ども
高校の教員の子どもが株主であれば、
建設業とは無関係なので、利益相反取引に該当しないと考えますが、
将来、利益相反取引に該当する、と認定される可能性はあるでしょうか?
(2)不利益処分の可能性について
子どもが、発注元と受注先として利益相反に該当する場合、
市町村は、将来、議会で問題追及されることを避けるために、
単に、上記取引から子どもを排除する、
という不利益処分をするという程度の処分をするだけで、
それ以上の不利益処分をすることはない、と考えますが、
この理解でよろしいでしょうか?
また、市町村は、子どもを取引排除以外で、不利益処分する場合、
どのような処分をすることが予想されるでしょうか?
【私見】
(1)利益相反取引該当性について
市町村が発注する取引が、当該取引を発注する職員と取引先が親族である場合、
当該取引先に利益供与する可能性がある、と認定し、当該職員を取引から排除すればよく
当該取引を担当する職員と取引先と無関係である場合まで利益相反取引に該当すると認定するのは、
酷であるから、これを利益相反取引と認定することはできない、と考える。
(2)不利益処分の可能性について
市町村は、当該市町村の職員が利益相反取引に該当する場合、
単に、当該職員を利益相反取引から排除すれば、何ら問題が生じることがないため、
取引からの排除以外の不利益処分をすることはできない、と考える。
ご質問、ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。
1 ご質問①〜市町村に勤務する子について
>①市町村に勤務する子ども
>子どもが市町村の三役や現場監督になった場合、
>子どもは、発注元と受注先の関係から利益相反取引に該当する、
>と認定されると考えてよろしいでしょうか?
先生のおっしゃる「利益相反取引」という言葉の意味自体が
(会社法上のものではないと思われます。)
明らかではないため、該当するか否かの判断はできかねますが、
利益相反的な行為として、
どの企業に発注するかを市が決定する際の裁量権を
行使する際に、考慮要素とされる可能性自体はあるように思います。
(持分割合等にもよるかと思います。)
ただ、会社の役員等ではなく単なる株主であれば、
他の考慮要素も加味した上で決定することとなるものと
思います。
2 ご質問②〜高校の教員の子について
>高校の教員の子どもが株主であれば、
>建設業とは無関係なので、利益相反取引に該当しないと考えますが、
>将来、利益相反取引に該当する、と認定される可能性はあるでしょうか?
こちらについても、どのような意味での、「利益相反取引」
としているのかがわかりませんので該当するかどうかの
判断はできないのですが、
おっしゃるとおり、関係性がないことなどから
ご質問①に比較して、問題になる可能性はかなり低いでしょう。
3 ご質問③〜不利益処分の可能性について
>子どもが、発注元と受注先として利益相反に該当する場合、
>市町村は、将来、議会で問題追及されることを避けるために、
>単に、上記取引から子どもを排除する、
>という不利益処分をするという程度の処分をするだけで、
>それ以上の不利益処分をすることはない、と考えますが、
>この理解でよろしいでしょうか?
>また、市町村は、子どもを取引排除以外で、不利益処分する場合、
>どのような処分をすることが予想されるでしょうか?
基本的にはそのように判断して良いと
思いますが、
>工事の発注元である市町村の三役や現場監督になる可能性がある。
という際に、例えば、自分が株主である
こと等を隠していた(または嘘をついていた)場合などで、後に発覚すると、
忠実義務違反等で減給等を含めてその他の処分がされる可能性自体はあります。
結局のところ、市側に一定の裁量が認められますので、
可能性という話になれば、個別具体的な状況次第という
こととなるかと思います。
なお、ここは地方によるところですが、一定以上の株式を保有する場合、
内規により報告義務などが課されていることなどがありますので、
その点はご確認いただくしかないところかと思います。
よろしくお願い申し上げます。