不動産 民法 借地借家法

公正証書によらない土地賃貸借契約書(事業用)

永吉先生
お世話になります。

表題の件につき、以下のご質問をさせてください。

■前提
平成17年に公正証書にて事業用定期借地契約(平成20年改正法前の24条)を締結していた。
契約期間は満20年(平成17年~平成37年)。
その後、契約解除したが次の賃借人へ課すために建物は取り壊していない。
平成25年に次の賃借人との間で契約を締結したが、契約内容は従前の事業用定期借地契約と同一であるが、
公正証書にて契約を交わしていない。
ただし、契約書の文言には「借地借家法24条に定める事業用定期借地権に当る」とあるが、
契約時点における事業用定期借地権は改正後の23条であるべきですが、従前の契約書をそのまま引用して記載しています。

■質問
上記前提に基づき、平成25年に契約した公正証書でない土地賃貸借契約書に事業用定期借地権であるとの記載があっても
公正証書に基づいていない以上(借地借家法23③)、借地借家法に定める事業用借地権とはならないという理解でよいでしょうか。

上記が正しい場合には、普通借地としての効力が認められるということになり、
契約期間満了による建物収去よる土地明け渡しを求めることはできないという理解でよいでしょうか。

よろしくお願いします。

●●先生

ご質問、ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。

1 ご質問

>上記前提に基づき、平成25年に契約した公正証書でない土地賃貸借契約書に事業用定期借地
>権であるとの記載があっても
>公正証書に基づいていない以上(借地借家法23③)、借地借家法に定める事業用借地権とは
>ならないという理解でよいでしょうか。

2 回答

基本的には、賃貸人が、前賃借人との契約を解除し、
その後、現賃借人と新たに契約したとすれば、ご理解のとおりとなります。

ただし、気になるのが、

>その後、契約解除したが次の賃借人へ課すために建物は取り壊していない
>従前の契約書をそのまま引用して記載しています。

という点です。

通常、借地契約であれば、契約を解除するタイミングで、
建物収去明渡しをします。

前借主との契約を解除する際に
この建物の所有権がどのように処理されたのかが気になる
ところです。
①前所有者のままなのか、②収去の代わりに一旦貸主に帰属させたのか、
③建物所有権を前所有者が現所有者に移転させたのかが不明です。
(通常は、③かとは思料します。)

③の場合、
例えば、前借主との契約の解除及び新借主との契約とおっしゃっている
ものが、

賃貸人の承諾の下でなされた、旧賃借人から現在の賃借人への
建物譲渡に伴う賃借権の譲渡(賃借人の契約上の地位の移転)
と解される可能性もあり、その場合には、公正証書の作成自体は
不要という考え方が有力です。

このあたりが、契約書上、明らかにされていない場合は、
契約の経緯やその他の証拠などからの評価の問題となります。

契約の経緯の詳細や証拠関係からの判断となりますので、
もし、ご希望があれば無料相談等をご利用いただく形が
よろしいかと存じます。

よろしくお願い申し上げます。