過去の相談事例において「著作権」とある件を
検索して学習しました。
その上で、相談させてください。
1.関与先に対して
他の方が記載したネットの情報、書籍、新聞、
他の税理士の研修テキストなど(以下、資料と言います。)
をその執筆者を明らかにしたうえで、説明材料として
使用すること、たとえば、永吉先生のメルマガを執筆者が
永吉先生だとわかる状態で関与先に提供することは問題になりますか。
(今のところそういうことはしておりません。)
2.また研修講師を頼まれたときに、上記のように執筆者を
明らかにしたうえで、資料を研修材料として、使用することは問題になりますか。
よろしくお願いします。
ご質問ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。
以下のご質問では、対象資料を複製して(電磁的
方法含む)渡すという前提でよろしかったでしょうか。
その前提で回答します。
1 ご質問①〜関与先さまへの配布等〜
>他の方が記載したネットの情報、書籍、新聞、
>他の税理士の研修テキストなど(以下、資料と言います。)
>をその執筆者を明らかにしたうえで、説明材料として
>使用すること、たとえば、永吉先生のメルマガを執筆者が
>永吉先生だとわかる状態で関与先に提供することは問題になりますか。
厳密な著作権法の考え方からすると、
関与先さまであっても、第三者に
渡す目的で資料を複製する行為等は、
原則として著作権法違反になります。
この行為は、PDF化して、メール送信することや
自社のサーバーなどアップロードする行為も含みます。
ただ、専門家向けの書籍などの場合、そもそも
専門家が関与先のために役立ててもらうために発刊する
ものですので、個別の関与先さまにお配りすることに
著作者の黙示の許諾がある?ということも一応、考慮しても
良いかもしれませんが、黙示の許諾があると法的には
評価できる可能性は低いでしょう。
あとは、例外的に「引用」と評価できるのであれば、
可能かとは思いますが、書籍等の現物そのものをコピーして
渡すという形ですとそう評価することは、難しいかと思います。
例えば、自分で作成した資料の中で、付随的に
同一内容を引用の要件を満たした上で追加する
程度であれば良いとは思います。
(現物をコピーして渡す等ではなくです。)
引用については、かなり昔に私が書いた記事で、
お恥ずかしいところもありますが、以下に記載があります。
https://ec-houmu.com/right/chosakuken_quotation.html
ただし、私もそうですが、専門家向けのものは、
お客様のために利用していただきたいと思っているので、
それをしたからといって問題視することあまりないのかとも
思います(もちろん、1対1ではなく、不特定または多数に配信する等は別として)。
私の無料メルマガ等は別として、
書籍等の場合には、内容自体の著作権は
著者のものですが、デザイン等は出版社に帰属
している部分も多いで、表だって良いですよ等とは
いえないところではあります(私から問題にすることは
ありませんが。)。
その他、国や地方公共団体等が出しているものなどは、
例外があったり、複製を一定の条件で認めているものも
多いです。また、例えば私自身が公開しているサイトのU R L
リンクを貼る行為自体は、著作権法に抵触しません。
なお、例えば、面談の場などで、
実際のテキストなどを見せながら説明する行為自体は
著作権法上、問題ありません。
2 ご質問②〜研修資料としての配布等〜
>また研修講師を頼まれたときに、上記のように執筆者を
>明らかにしたうえで、資料を研修材料として、
>使用することは問題になりますか。
こちらも、書籍自体のコピーの配布等であれば、原則として
著作権を侵害する行為にあたります。
引用として許されるかは上記の条件によりますが、
厳密には書籍などをコピーしたものを配布するという
必要性がどこまであるかによるところになります。
こちらも自分で作成した資料の中で、該当箇所を
貼付け等し、引用の要件を満たす形とすれば安心では
あります。
なお、こちらの場合、購入した書籍自体を配布して、
利用したとしても、その講義内容がその文字をそのまま
読むもの等ですと、口述権の侵害として、著作権法
違反とはなってしまいます。
よろしくお願い申し上げます。