いつもお世話になります。
合同会社の代表社員の退職と出資持分の譲渡について、教えてください。
【前提】
合同会社の代表社員であるAが、来年度、退職の予定です。
退職金を支給した後に、出資持分を業務執行役員B,C,Dの3名で買い取る予定です。
【質問】
(1)出資持分について、取引相場のない株式の評価方法に準じて評価し、買い取る
予定です。
退職金を支給し、評価額が下がった状態で譲渡する予定ですが、気をつける点等ござ
いますか?
(2)今回は、他の社員が買い取る予定ですが、合同会社に対し、持ち分の払い戻し
を 請求することもできるということで合っていますか?
この場合は、持分会社の課税時期における各資産を財産評価基本通達の定めにより評
価した価額の合計額から課税時期における各負債の合計額を控除した金額に、
持分を乗じて計算した金額で払戻をうけるということでいいでしょうか?
(3)(2)の場合に、注意点等ございましたら、ご教示ください。
よろしくお願いいたします。
ご質問、ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。
1 ご質問①〜合同会社の代表社員への退職金
>(1)出資持分について、取引相場のない株式の評価方法に準じて評価し、買い取る
>予定です。
>退職金を支給し、評価額が下がった状態で譲渡する予定ですが、気をつける点等ござ
>いますか?
以下の点はありますが、
基本的に株式会社と同様に考えていただいて問題ないと存じます。
通常、
株式会社と異なり、退職の事実と持分譲渡の事実が
同時に発生しますので、
社員の過半数の同意で退職金の決定(債務確定)をした後に
譲渡する形になるかと思います(そこまで税務署も
厳密に考えてはいないように思いますが)。
また、合同会社の場合、基本的に株式会社と異なり、
社員の地位の中にいわば株主の地位と役員の地位が含まれて
いますので、退職金の支給なのか、配当としての支給なのかは
理論上疑義が残るということはありますが、
基本的には、法人税法上で損金とできる範囲内の退職金の支給で
あれば、概ね問題とはされていないと思います。
2 ご質問②〜持分の払い戻しの金額について
>今回は、他の社員が買い取る予定ですが、合同会社に対し、持ち分の払い戻し
>を請求することもできるということで合っていますか?
はい。
定款で別段の定めがなければ、
社員が退社する場合には、会社に対して、持分の払戻の請求が可能です(会社法611条)。
この場合の金額ですが、「株式」同様に会社法上は、評価方法が定まって
いるわけではありません。
争いがあれば、最終的に裁判所が決定します。
(会社の性質や状況によりますが、
存続企業が前提であれば、インカムアプローチが中心
となり、純資産評価はあまり利用されません。)
争いがなければ、
税務(通達)上の評価方法で評価して払い戻しを
受けるということが多いかとは思います。
3 その他
>(2)の場合に、注意点等ございましたら、ご教示ください。
合同会社の場合、定款で様々な規定が設けられている
ことも多いので、その点はご確認いただければと思います。
また、退社に伴う持分の払い戻しの場合、
払戻額が剰余金額を超えない場合には、債権者
保護手続きは不要ですが、
そうでない場合には、債権者保護手続きが必要に
なるなどの注意点があります。
退社の手続き等に関連して登記が必要となりますので、
司法書士さん等に依頼するのであれば、
事前に相談することで、
必要な手続き等は問題なく進められるかと思います。
よろしくお願い申し上げます。