お世話になります。税理士の●●です。
被相続人の損害賠償請求権は相続財産になると
言われます。代表例として、被相続人が係争して
いた裁判の損害賠償請求権や、被相続人が死亡した
交通事故の損害賠償請求権が挙げられています。
お尋ねしたいのは、これら以外の損害賠償請求権です。
例えば、申告間違えた場合、当然ながら税賠の対象ですが、
このような税賠請求権も対象でよろしいでしょうか。
申告を依頼した被相続人は賠償請求しなかったものの、死亡後
相続人が上記を発見して税理士に損害賠償し、税理士が損害賠償
金を払ったようなケースの取扱いを検討しています。
なお、個人的には対象になると考えてます。私の理解が
正しければですが、このようなケースは損賠賠償が確定して
から、再度遺産分割する、という流れになるのでしょうか。
相続から相当期間経過すると思いますので確認です。
よろしくお願いいたします。
ご質問、ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。
1 ご質問①〜税理士賠償請求権は相続財産か〜
>お尋ねしたいのは、これら以外の損害賠償請求権です。
>例えば、申告間違えた場合、当然ながら税賠の対象ですが、
>このような税賠請求権も対象でよろしいでしょうか。
>申告を依頼した被相続人は賠償請求しなかったものの、死亡後
>相続人が上記を発見して税理士に損害賠償し、税理士が損害賠償
>金を払ったようなケースの取扱いを検討しています。
はい。先生のご認識のとおり、こちらも当然相続の対象となります。
2 ご質問②〜損害賠償請求権の遺産分割について
>このようなケースは損賠賠償が確定して
>から、再度遺産分割する、という流れになるのでしょうか。
>相続から相当期間経過すると思いますので確認です。
損害賠償請求権は、金銭債権です。
預貯金等の特別な金銭債権と異なり、
相続分で各相続人に当然分割されます。
厳密には共有財産ではないので、遺産分割の対象とはなりません。
(なお、実務上は、相続人全員の合意のもと、遺産分割の対象とすることは
認められていますが、これは厳密には代償金の支払(他の財産を誰かにあげる代わりに
金銭債権を誰かが取得するという意味)に近い意味になります。)
ただし、従前の遺産分割協議書等で、「その他の財産は、Aが取得する」
などと記載があれば、原則としてはAに帰属します。
税理士としては、債権譲渡通知等がない限り、
法定相続人の法定相続分に応じて支払えば免責される
こととなります。
よろしくお願い申し上げます。