民法

不可抗力で業務遂行できない場合の取り扱いについて

永吉先生

お世話になっております。

下記条項の変更が検討されております。
(なお、乙が私の顧問先ですので、乙の立場で検討しております。)

【現在の条項(の要約)】
乙の責めに帰すべからざる事由を理由として、乙が業務を遂行できない場合には、
乙はその責任を負わず、甲は一切の金銭を支払う義務を負わない。

これの冒頭部分について、甲の要請により「甲又は乙」に変更することが検討されて
おります。

この変更によって、乙都合で業務遂行出来なくなった場合でも本条項が適用できて
しまうこととなり、乙にとってはむしろ有利になるのではないかと思ったのですが、
解釈として合っておりますでしょうか?

お手数おかけいたしますが、よろしくお願いいたします。

●●先生

ご質問、ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。

1 ご質問

>【現在の条項(の要約)】
>乙の責めに帰すべからざる事由を理由として、乙が業務を遂行できない場合には、
>乙はその責任を負わず、甲は一切の金銭を支払う義務を負わない。

>これの冒頭部分について、甲の要請により「甲又は乙」に変更することが検討されて
>おります。

>この変更によって、乙都合で業務遂行出来なくなった場合でも本条項が適用できて
>しまうこととなり、乙にとってはむしろ有利になるのではないかと思ったのですが、
>解釈として合っておりますでしょうか?

2 回答

「(の要約)」」という点が気にはなりますが、
いただいた条項から回答します。

まず、前提として、そもそも現状の条項ですと、
甲都合で乙が業務を遂行できずに乙に損害が生じた場合でも、
甲に対して、一切の金銭請求ができないということで、
そもそも乙に不利な条項です。

ここは、前提で良いということかと思いますので、
良いとして、

確かに甲の要請の通り、「甲又は乙」とすると、先生のご指摘の
とおりかと思います。

ただ、プロが入っていない契約書の場合、
当事者の意思は明らかに「甲及び乙」であるにも
関わらず、形式上「甲又は乙」と記載したに過ぎないという
解釈もあり得るところではあります。
(これはその他のやりとり等によるところです。
例えば、「甲及び乙」の効果を得たいことが明らかな
やりとりがあるにも関わらず、契約書上のみ「甲又は乙」となって
いる場合など)

関係性なども踏まえて、一概には言えませんが、

当事者のルールをはっきりさせておくというのも、
契約書の大きな機能ですので、しっかりと甲の意思を確認した上で、
協議をした方が良いケースも当然ありますので、
その辺りはご留意いただければと思います。

よろしくお願い申し上げます。