●●です。
2つの事象について教えてください。
二次相続はまだ発生していません。
H23年度に父が死亡した際に、遺言書がなく、もめて未分割申告し、
双方、弁護士をいれて本家とそれ以外で調停和解により一次相続はH27年度に
済んでいます。
父の相続人は
本家側は妻、次女、次女の子A、次女の子B、次女の子C
それ以外は長女、三女、四女
の8人です。
調停和解の文書は
申立人妻、次女、次女の子A、次女の子B、次女の子Cは連帯して
遺産を取得した代償として長女、三女、四女に各1,000万円の支払義務が
あることを認め、振込支払うとありました。
このときに、二次相続ももめることは分かっているため、
妻が全額の3,000万円を負担しました。
(厳密には未分割賃料債権も加算されました)
質問1
下記の合意書があれば、妻が100%を負担し、合法的に妻の財産が減少したと
して二次相続時に3,000万円の使途について問われても妻が全額負担したとして
問題はないと考えてよろしいでしょうか?
質問2
仮に合意書がなくて、妻が全額、負担したのはおかしいと言われたら、二次相続の
際に平等負担とされ、次女、次女の子A、次女の子B、次女の子Cに対して3,000万円の4/5
相当額2,400万円の貸付金または立替金と認定されるリスクはあるのでしょうか?
合意書
甲 、乙 、丙 丁 、戌 、は、
下記債務に付、債権者に対して連帯債務であるところ、甲、乙、丙における負担割合を下記のとおり合意した。
よって、甲の返済遅滞等により、乙及び丙、丁、戌が債権者に返済した場合は、甲は乙及び丙、丁、戌に対し返済額全額を支払う。
記
債務の負担割合
甲 10割 乙 0 丙 0 丁 0 戌 0
債務の表示
平成27年2月18日の調書成立に記載のある長女、三女、四女の3名のそれぞれに対して遺産の取得に対する代償金として
1,000万円ずつと相続開始後の賃料の精算としてそれぞれに2,061,133円ずつの合計12,061,133円ずつの支払債務
上記を証する為、ここに署名・押印する。
質問3
現在、妻の遺言書は作成済みでしたが、再度、見直しをするということになり、
下記の記載をしたことによる二次相続の遺留分減殺請求についてデメリットがあるか教えてください。
現時点で、妻に1,200万円の金融資産はない状態です。
そのため、下記のような記載を司法書士さんが提案されました。
遺言書で代償という記載は見たことはないですが、問題はないのでしょうか?
質問4
仮に、二次相続が発生し、下記の金額が遺留分を侵害しているときと
侵害していないときで状況はなんら変わらないものと理解してもよろしいでしょうか?
上記遺産の取得の代償として、次女は後記のとおり代償金を支払うものとする。
長女 金400万円
三女 金400万円
四女 金400万円
ご質問、ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。
1 ご質問①~連帯債務者の負担分合意について~
>下記の合意書があれば、妻が100%を負担し、合法的に妻の財産が減少したと
>して二次相続時に3,000万円の使途について問われても妻が全額負担したとして
>問題はないと考えてよろしいでしょうか?
まず、連帯債務者間で負担割合の合意をすることは可能です。
妻が100%負担することも可能ですので
合法的かといえば、もちろん合法です。
ただし、妻、次女、次女の子A、次女の子B、次女の子Cの負担部分
があったにもかかわらず、
この合意を締結すると、この時点で、妻から各人の負担相当額について
実質的に求償権の放棄があったと解されますので、
贈与税及び遺留分算定基礎財産に含まれる特別受益
に含まれるものと考えられます。
贈与税は補足されるのかという点はありますが、
遺留分の方は、相手側も連帯債務であることを
認識しているでしょうから、2次相続の際に、
何かしら主張してくるかと思います。
2 ご質問②~求償権について~
>仮に合意書がなくて、妻が全額、負担したのはおかしいと言われたら、二次相続の
>際に平等負担とされ、次女、次女の子A、次女の子B、次女の子Cに対して3,000万円の4/5
>相当額2,400万円の貸付金または立替金と認定されるリスクはあるのでしょうか?
法的には、妻から各人に対して求償権があり、二次相続においては、
この債権が相続財産であるとされるリスクはあります。
一方、妻が求償権を放棄したと認定する場合には、
ご質問①のリスクがあります。
3 ご質問③~代償という記載の遺言書~
>現時点で、妻に1,200万円の金融資産はない状態です。
>そのため、下記のような記載を司法書士さんが提案されました。
>遺言書で代償という記載は見たことはないですが、問題はないのでしょうか?
いただいた記載のみではどちらかの判断はできませんが、
この点については、純粋な遺産分割方法の指定としては
認められていますが、遺産分割方法指定のうち、直接財産を承継
させる特定財産承継遺言の場合は、疑義があります。
普通に認められている公正証書遺言もありますし、
公証人によっては、「代償」ではなく、
負担付特定財産承継遺言としなければ認めないという方も
いらっしゃいます。
4 ご質問④~遺留分との関係~
>質問4
>仮に、二次相続が発生し、下記の金額が遺留分を侵害しているときと
>侵害していないときで状況はなんら変わらないものと理解してもよろしいでしょうか?
仮に負担付特定財産承継遺言と評価される場合には、
遺留分の計算方法が異なってくる可能性がありますので、
注意が必要かと思います。
このあたりは、個別具体的な事案を離れて、
メールで説明することは難しい(誤解を生む可能性も高い)ので、
司法書士さんに説明して具体的な計算をしてもらうか、
個別のご依頼やご相談をいただくしかないかと存じます。
よろしくお願い申し上げます。