テナントがビルを賃借した場合の保証金の残額としての債権額について、
教えてください。
ビルの賃貸借契約の保証金の条項に下記とあります。
保証金の額は1,000万円と仮定します。
本契約終了に際し、甲は償却費として200万円(別途消費税)を
保証金から差し引くものとする。
お客様は消費税率が5%の時代に賃借し、
退去時償却が確定しているので、210万円を繰延資産に計上し、
790万円が保証金として、貸借対照表に載っています。
この度、ビルオーナーが変わり、
新オーナーと保証金の残額のすり合わせを求められています。
現時点で退去することが確定している訳でもありませんが、
少なくとも、現時点の消費税率は10%です。
この場合、新ビルオーナーに主張する債権額はいくらになるのでしょうか?
よろしくお願い致します。
ご質問、ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。
1 ご質問
>保証金の額は1,000万円と仮定します。
>本契約終了に際し、甲は償却費として200万円(別途消費税)を
>保証金から差し引くものとする。
>お客様は消費税率が5%の時代に賃借し、
>退去時償却が確定しているので、210万円を繰延資産に計上し、
>790万円が保証金として、貸借対照表に載っています。
>この場合、新ビルオーナーに主張する債権額はいくらになるのでしょうか?
2 回答
厳密な法的な部分は、
> 本契約終了に際し、甲は償却費として200万円(別途消費税)を
> 保証金から差し引くものとする。
という契約条項の合理的意思解釈の問題となるので、
最終的には裁判で確定する限りわからないという難しい問題
かと思います。
あえて「本契約終了に際し」、%表示でなく「別途消費税」
とされていることから、契約の文言からは、
契約終了時点の消費税10%を基準となると評価される
可能性も比較的あると思います。
しかし、税務上の権利確定の問題もこの考えに基づきますが、
基本的に償却費は、実質的に権利金等の性質を有するもの
とも考えられていますので、その性質論から、
この「別途消費税」の記載は、保証金の預入時点の消費税
を基準としており、「本契約終了に際し」は、
あくまでも差入保証金のうち償却分は返還の対象に含まれない
ことを確認的に定めただけという解釈も十分成り立つのでは
ないかと思われます。
歯切れの悪い回答で申し訳ないのですが、
賃借人の立場から言えば、
一旦は、上記を理由に
賃貸借契約時の消費税率5%を前提とし、
残りの保証金の額は、790万円と主張する方針で問題ないと考えます。