会社法 その他

役員変更登記(住所変更と離婚後の旧姓併記)について

永吉先生

お世話になっております。

1.代表者住所変更について
代表者の住所変更の登記に際しては、住民票などの添付は求められていないため、
2週間以内の登記変更期限に形式上間に合わせるために、登記上の異動日について、
実際に住所変更を行った日より遅い日に設定したうえで(本来あるべきではない
かたちではあることは承知のうえで)申請することが、実務上は見られると思います。

このような運用について、過料が課される可能性以外に、何かしらデメリットは
あるものでしょうか?
あるいは、住民票上の異動日と登記上の異動日が異なっていた(数日程度ではなく
数ヶ月程度)としても、どちらも間違いではないというような(多少こじつけで
あったとしても)何らか理屈をつけることができるものでしょうか?

2.旧姓の併記にて登記をした後に離婚した場合について
こちらは事務的な話ですので法務局に直接聞いた方がいいかもしれませんが、
ご存知の範囲でご教示ください。
登記上、旧姓の併記をしており、その後離婚した場合の取扱です。
戸籍上は、旧姓にもどさずに、現在の姓をそのまま使い続け、会社の取引に
関しては、現状もそうですが旧姓を引き続き使用することを想定しております。
本人が希望すれば、併記したままで問題ないでしょうか?

お手数おかけいたしますが、よろしくお願いいたします。

●●先生

ご質問、ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。

1 ご質問①~代表者住所変更について

>1.代表者住所変更について
>代表者の住所変更の登記に際しては、住民票などの添付は求められていないため、
>2週間以内の登記変更期限に形式上間に合わせるために、登記上の異動日について、
>実際に住所変更を行った日より遅い日に設定したうえで(本来あるべきではない
>かたちではあることは承知のうえで)申請することが、実務上は見られると思います。

>このような運用について、過料が課される可能性以外に、何かしらデメリットは
>あるものでしょうか?

おっしゃる通り、商業登記法上、代表者の住所変更について
住民票等の添付は求められていません。

過料以外のデメリットというと、
上場審査でマイナス評価になることや
許認可などの申請時に正しい住所に通知が届かなく
なる可能性といったことでしょうか。

通常の会社等ですと大きなデメリット
があるわけではありません。

>あるいは、住民票上の異動日と登記上の異動日が異なっていた(数日程度ではなく
>数ヶ月程度)としても、どちらも間違いではないというような(多少こじつけで
>あったとしても)何らか理屈をつけることができるものでしょうか?

住民票には住所移転日が記載されますし、
登記の添付書類として住民票は不要とはいえ、
法律上は、登記申請には住所移転日を正確に記載する必要がある
ため、どちらも間違いではないというような理屈は難しいと思います。

2 ご質問②~旧姓併記登記後に離婚した場合

>登記上、旧姓の併記をしており、その後離婚した場合の取扱です。
>戸籍上は、旧姓にもどさずに、現在の姓をそのまま使い続け、会社の取引に
>関しては、現状もそうですが旧姓を引き続き使用することを想定しております。
>本人が希望すれば、併記したままで問題ないでしょうか?

婚姻時であれば、商業登記規則81条の2により、
旧姓併記を申し出ることが可能ですが、
厳密にいうと、離婚時には、新たに戸籍を作成し直すことに
なると思いますので、「旧姓として婚姻前の姓」を使用するということが
想定できませんので、旧姓併記を直す必要があります。

ただ、実務上、法務局側もこの点については、届出がない限り
調べないというところはありますので、過料の話との兼ね合いとなりますが、
旧姓併記のままにしているというケースも多いかなと思います。

よろしくお願い申し上げます。