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化粧品製造業許可と化粧品製造販売業許可について

永吉先生

いつも大変お世話になっております。
税理士の●●と申します。

自社工場や製造設備を所有せず、OEMにて製造委託を
されている法人の製造責任などについて、少し法務とは違う
ご相談になるかもしれませんが、ご意見を頂ければ幸いです。

(前提)
○ 法人Aは製造工場を持たず、OEMにより化粧品を製造してもらい、
自社ブランド(法人Aのブランド名)で販売をしています。

○ 化粧品の製造においては、OEMにより製造委託をしていますが、法人Aは
化粧品製造業許可を有しており、化粧品の企画、立案、材料や配合などの
分析も行い、OEM(製造委託先)メーカーに対して製造委託をする際に、
指示や技術相談などを経て、一部共同で化粧品を製造している経緯があります。
※ 化粧品製造販売業許可も有しています。

(参考:化粧品製造許可)
http://zettoc-cosme-oem.jp/media/2018/04/14/20

化粧品輸入と製造販売業許可

○ 一方で、法人Aにおいて、材料や製造人員の調達などは一切なく、
工場、製造設備の所有も当然になく、一般的には製造問屋になるかと考えていま
す。

製造問屋になると、日本標準産業分類による業種としては卸売業になると考えら
れます。

(参考:製造問屋)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%96%E3%83%AC%E3%82%B9#

(質問)
○ 株式計算の事業種の判定上で、製造業という主張ができればと考えています。

法人AとOEM(製造委託先)の会社との契約内容にもよるかもしれませんが、
製品に不具合やリコールが生じた場合、製造責任を法人Aにて負担する法的根拠
などから製造業である事を主張する説明(根拠)などはございませんでしょうか。

もっとも、卸売業においても、販売している商品や製品に不具合や不良があれ
ば、責任を負うことになると思いますが、「製造」という責任を負うことになれば、
製造業として主張することも可能なのかと考えています。

製造責任からだけでなく、化粧品製造業許可を有している状況などからも
製造業である事が説明できればと考えています。

お手数をお掛け致しますが
宜しくお願い致します。

//追加情報
永吉先生

お世話になっております。

昨日にご相談をさせて頂きました
●●と申します。

参考の情報になるかどうか分からないのですが、
念のため、前提の内容を少し追加できればと思います。

(前提の追加)
○ 化粧品に表示に関する公正競争規約施行規則の3条においては、
「規約第4条第2号に規定する「販売名」は、薬事法(医療品医療機器等法)の規

に基づく承認を受けた名称又は届け出た名称により表示する」となっており、

OEMにて製造をして貰った製品については、販売時のラベルについて、
法人A(委託者)の法人名と住所が記載されています。

(参考)
https://www.yakujihou.com/content/5-B.html

http://vi-navi.com/cafe/%E5%8C%96%E7%B2%A7%E5%93%81%E7%AD%89%E3%81%AE%E8%A1%
A8%E7%A4%BA%E2%91%A6

製品の表示ラベルには、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等
に関する法律(薬事法)の規定に基づく
承認を受けた名称又は届出た名称により表示することが義務となっており、今回
は、法人Aの名称が製品のラベルに記載されています。

このことは、製造業であることの法的な要素にはなりませんでしょうか。

ご相談をさせて頂いている法人Aは化粧品の製造許可及び製造販売許可を有してお
り、このような許可を有していない場合の
OEMにて販売している販売会社は製造問屋として考えられるかもしれませんが、
OEMにて製品の委託委託をしている
販売会社がひとまとめで、卸売業に該当する判断に少し疑問を持っております。

大変お手数をお掛け致しますが
ご意見を頂ければ助かります。

宜しくお願い致します。

●●先生

ご質問、ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。

1 ご質問

>○ 株式計算の事業種の判定上で、製造業という主張ができればと考えています。
>法人AとOEM(製造委託先)の会社との契約内容にもよるかもしれませんが、
>製品に不具合やリコールが生じた場合、製造責任を法人Aにて負担する法的根拠などから
>製造業である事を主張する説明(根拠)などはございませんでしょうか。
>もっとも、卸売業においても、販売している商品や製品に不具合や不良があれ
>ば、責任を負うことになると思いますが、「製造」という責任を負うことになれば、製造業
>として主張することも可能なのかと考えています。
>製造責任からだけでなく、化粧品製造業許可を有している状況などからも
>製造業である事が説明できればと考えています。

>製品の表示ラベルには、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等
>に関する法律(薬事法)の規定に基づく承認を受けた名称又は届出た名称により表示するこ
>とが義務となっており、今回は、法人Aの名称が製品のラベルに記載されています。
>このことは、製造業であることの法的な要素にはなりませんでしょうか。
>ご相談をさせて頂いている法人Aは化粧品の製造許可及び製造販売許可を有してお
>り、このような許可を有していない場合のOEMにて販売している販売会社は製造問屋として
>考えられるかもしれませんが、OEMにて製品の委託委託をしている販売会社がひとまとめ
>で、卸売業に該当する判断に少し疑問を持っております。

2 回答

>OEMにて製品の委託委託をしている販売会社がひとまとめ
>で、卸売業に該当する判断に少し疑問を持っております。

というのは、おっしゃるとおりかと思います。

ただ、法的に許認可や製造責任を負うということをどのように
評価するのかという点は、その評価対象の目的との関係で異なってきます。

今回は、株式の評価について、
財産評価基本通達の類似業種比準価額の業種目の評価を目的としている
と思います。

類似業種比準については、株式の評価を同種の業種であれば、
収益構造なども類似しているという前提(ある意味、株式評価におけるフィクション)
により成り立っているものです。

そこに焦点が当たっていない主張ですとあまり考慮されないと思われます。
(法的な責任や形式ではなく、実態という意味では実態です。)

先生のご主張も業種分類という意味ではごもっともかと思いますし、
意味のないものとは思いませんが、

結局のところ、何のための業種分類なのかというところがポイント
となりますので、

法的な責任を負っていることや許認可があることだけではなく、
それにより、どのように収益構造が、卸売業ではなく、製造業に
近いのかという点にフォーカスした立論でなければならないと
思います。リスクが内在しているというだけでは弱いかと思います。

よろしくお願い申し上げます。