いつも大変お世話になっております。税理士の●●です。
【前提】
個人から法人に機械装置を負担付贈与するのに負担付贈与契約書に署名押印し
ています。個人が金融機関で借りている借入金を法人に付け替えるのですが、金
融機関側の問題で当該機械装置に対応する借入金額をいくらにするのかまだ決
定していません。負担の金額は決定していませんが、法人側では機械装置の取得
に係る価額を未払いとして処理し決算をしました。
【質問】
税務署から個人と法人で結んだ契約書を見せて欲しいと言われています。
契約書では「借入金 円(債権者:金融機関名)を負担する」とあり
ますが、金額は入っていません。
この場合、負担付贈与契約書として成立していると言えるでしょうか。
よろしくお願いいたします。
ご質問、ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。
1 ご質問
>税務署から個人と法人で結んだ契約書を見せて欲しいと言われています。
>契約書では「借入金 円(債権者:金融機関名)を負担する」とあり
>ますが、金額は入っていません。
>この場合、負担付贈与契約書として成立していると言えるでしょうか。
2 回答
契約「書」は、契約の内容(意思表示の合致の内容)を証明するものですので、
契約「書」が成立?ということはないのですが、
この契約書自体から
「法人側では機械装置の取得に係る価額を未払い」
とした価額が適正であることを証明できるものではないと思います。
ただ、
>金融機関側の問題で当該機械装置に対応する借入金額をいくらにするのかまだ決
>定していません。
ということで、この当該機械装置に対応する借入金額を負担する
前提での負担付贈与契約が成立しており、金額が確定した時点で記載する
趣旨であったとの主張は可能かと思います。
結局のところ、どのような合意があったのかという点になりますので、
負担額を将来的に確定させる趣旨の贈与契約が許されない
わけではありません。
このような書面ですと税務調査でどう対応するのかは難しいところですね。
それがなければ、機械装置の取得自体に疑義が生じて
しまいますし、出すと未払い価額が争点となってしまいます。
>金融機関側の問題
というのは、借入金債務の債務引受をするという趣旨
(金融機関の直接の債務者が法人となる)だと思いますが、
負担の場合には、個人の債務を、贈与を受ける法人が代わりに負担するということも
当事者間で可能です(あくまでも、金額の負担であり金融機関から見た債務者が変わる
方法ではないという趣旨です。)ので、この辺りで調整できないのかは
検討して、金額を入れるという方法もあるかもしれません。
よろしくお願い申し上げます。