お世話になっております。
税理士の●●です。
以下の案件ご教示ください。
前提
甲は税理士事務所の代表である(税理士法人ではない)
甲は会計法人乙の代表取締役でもある。
甲の税理士登録住所と乙の本店は別である。
乙には複数の従業員がいる
質問
1、甲が多くの都道府県、市町村に乙の営業所を作ることに問題はないか?
(申告作業は税理士事務所でしているものとする)
2、聞き取りをしたところ、乙の従業員は自分が乙で申告書を作っているという。
甲は会計法人で申告書を作っておらず従業員の勘違いだといっている。
このような場合の、責任問題や虚偽の発言の責任問題はどうなるか?
3、会計法人が作り放題なら全国に作りたい人は沢山いると思うのですがその他気になるところを教えてください。
以上です
よろしくお願いいたします。
ご質問、ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。
1 ご質問①〜会計法人を複数他地域でつくる行為
>1、甲が多くの都道府県、市町村に乙の営業所を作ることに問題はないか?
>(申告作業は税理士事務所でしているものとする)
理論上は、
税理士業務(税理士法第2条の「税務代理」(1号)、「税務書類の作成」(2号)、
「税務相談」(3号))を一切行わないという前提であれば、
法人を複数設立することは可能です。
ただ、実際の問題として、乙の各営業所の地域のお客さんの会計についての
相談対応等をその地域の職員が行うということとになると、
会計と税務はきってもきれない関係にありますので、少なくとも
「税務相談」(非税行為)を行っていた(及び名義貸しをしていた)として、
処分の対象とされる可能性が極めて高いと思います。
(依頼者もその地域に会計法人の営業所があるので、依頼者の認識から
すると代表者が税理士である会計事務所にお願いしているという
形になると思うので、認定としてもかなり厳しいところです)。
この辺りは、職員が対応している以上、通常の
場合も同種の問題があり、実務上は黙認されているところもありますが、
このやり方(複数営業所の設置)をするとさすがに
税理士法人でなければ支店を出すことができないという
規律の実質的な潜脱になってしまうので、黙ってはいないかと思います。
ですので、方法としては、税理士の先生が行うには、リスクが
極めて高いため、おすすめでできません。
なお、乙の各営業所の職員が甲(税理士)の従業員として、
税務相談にのっていたという反論もあるところですが、
その場合、地域等の乖離から、今度は職員の監督義務違反を問題に
してくるのではないかというところです。
このあたりは、懲戒処分が、行政裁量といって、
仮に税理士法違反の事実があったとしても、何もしないのか、
注意にとどめるのか、懲戒処分をするのかが、原則として、
財務大臣の裁量に委ねられることになりますが、
この方法は、一線超えてしまっている(処分の対象
としてくる領域)かと経験上は思います。
2 ご質問②〜虚偽発言の責任
>聞き取りをしたところ、乙の従業員は自分が乙で申告書を作っているという。甲は会計法人
>で申告書を作っておらず従業員の勘違いだといっている。
>このような場合の、責任問題や虚偽の発言の責任問題はどうなるか?
虚偽かどうかはわかりませんが、仮に虚偽の発言だという
ことが証拠から判明した場合、
懲戒処分との関係でいえば、
上記の行政裁量における処分に影響を及ぼすでしょう。
懲戒処分は、財務大臣の税理士への監督行為の一環であるため、
注意にとどめるか、処分をするか、処分の重さをどうするか
という点について、税理士の発覚後の対応なども考慮事項とされます。
虚偽の事実を告げ、反省の態度がないということ
になると、処分を重くすることの根拠になると思います。
よろしくお願い申し上げます。