●●です。
一般社団法人が5年間役員変更をしなかったことにより、昨年の12/11に
解散登記が職権で行われていました。
本来は4/30が事業年度終了日、6/30が申告期限なのですが、先週発覚し
ました。すぐに継続登記を行ったようです。
税務申告は、12/11までの期間(解散事業年度申告)と、12/12から継続
登記の前日までの期間(清算事業年度申告)のそれぞれに行うと考えま
すが、法人(理事長)が解散していると知らなかったため、12/12以降も
通常の事業活動を行い、寄付金収入や賛助会費収入が発生しています。
12/12以降は、事業活動が禁止と考えますが、このようなケースの場合、
事業活動をしたことによる罰則があり、また、寄付金の返却や賛助会費
収入の返却等が必要となるのでしょうか?
よろしくお願い致します。
ご質問、ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。
1 ご質問
>一般社団法人が5年間役員変更をしなかったことにより、昨年の12/11に
>解散登記が職権で行われていました。
>本来は4/30が事業年度終了日、6/30が申告期限なのですが、先週発覚し
>ました。すぐに継続登記を行ったようです。
>税務申告は、12/11までの期間(解散事業年度申告)と、12/12から継続
>登記の前日までの期間(清算事業年度申告)のそれぞれに行うと考えま
>すが、法人(理事長)が解散していると知らなかったため、12/12以降も
>通常の事業活動を行い、寄付金収入や賛助会費収入が発生しています。
>12/12以降は、事業活動が禁止と考えますが、このようなケースの場合、
>事業活動をしたことによる罰則があり、また、寄付金の返却や賛助会費
>収入の返却等が必要となるのでしょうか?
2 回答
ご指摘のとおり、みなし解散とされてしまうと
後に継続決議を行ったとしても、解散後の清算期間中の活動が
遡って通常の事業活動となるわけではありません。
(なお、罰則はありません。)
厳密にいうと、理論的にはこの清算期間中は、清算の目的の範囲でのみ
権利能力を有し、それ以外の事業活動行為等は、権利能力の
範囲外のものとして、無効となることとなります。
(法人による追認等により有効とすることもできません。)
ただし、実務上は、この場合、会員等は当該社団法人が
事業活動を行っている前提で、寄付や会費を支払っており、
今後も実際に事業を続けることになるのでしょうから、
返還請求をしてくる可能性は低い上、
しばらく時間が経てば、仮に返還請求があったとしても、
法人が事業活動を継続していた
事情を考慮して、裁判所も権利濫用等の一般法理などで、
会員の返還請求を退ける可能性が高いかと思います。
(または、個別事情の判断として、「清算の目的」の
拡張解釈)
ですので、一旦は、通常の事業収入として扱って
おくことで良いのはないかと思います。
(返還請求などがあれば個別に対応を検討する。)
対税務署について、無効な取引による収入という
ことになりますが、発生主義の下の、収益認識については、
原則、権利確定基準が妥当しますが、
無効な取引であったとしても、実際に金銭を受け取っている
場合には、管理支配基準を例外的に適用するのが裁判所の
考え方(違法所得等と同様)ですので、
法人格が存在している以上、
各期間に収益認識をして、申告をすることになると考えられます。
よろしくお願い申し上げます。