税理士の●●と申します。
先日、東京都の協力金の申請に係る確認者に税理士が選ばれていまし
た。
日ごろから関与している納税者であれば、事業内容はよくわかっていま
すので確認の記名は問題ないと思いますが、関与先でない一般の納税者
から確認の依頼を受けた場合、相当の注意が必要と思います。
確認内容に虚偽があった場合(後日判明等)に、こちらの落ち度でない
ことを証明するための何かしらの有効な対策はありますでしょうか?
例えば「確認してもらう内容について、虚偽の内容ではないということ
を書面等で依頼者の自署等により証明してもらう」といったことを行っ
た場合、法的にはどの程度有効なのでしょうか?
漠然とした質問で申し訳ありません。
よろしくお願いします。
ご質問、ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。
1 ご質問
>先日、東京都の協力金の申請に係る確認者に税理士が選ばれていまし
>た。
>関与先でない一般の納税者
>から確認の依頼を受けた場合、相当の注意が必要と思います。
>確認内容に虚偽があった場合(後日判明等)に、こちらの落ち度でない
>ことを証明するための何かしらの有効な対策はありますでしょうか?
>例えば「確認してもらう内容について、虚偽の内容ではないということ
>を書面等で依頼者の自署等により証明してもらう」といったことを行っ
>た場合、法的にはどの程度有効なのでしょうか?
2 回答
(1)対策について
税理士の先生に対する責任追及としては、
事業者との関係と東京都との関係を考慮する必要があります。
以下のような書面を締結することは有効な対策となると
考えられます。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
第○条 事業者は、新型コロナウィルス拡大防止のための
「東京都感染拡大防止協力金」における専門家による事前確認に
必要な書類、記録その他の資料(以下、「資料等」という。)を
その責任と費用負担において乙に提供しなければならず、
その内容に誤りがないことを乙に対して保証する。
第○条 事業者の税理士に対する資料等の内容に誤りがあったことに起因して、
事業者に不利益が生じたとしても、その不利益は甲において負担する。
第○条 事業者の税理士に対する資料等の内容に誤りがあったことに起因して、
東京都を含む第三者に損害生じた場合には、その責任は事業者が負担する
ものとする。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
上記のような書面を締結するとしても、
その効力を持つのは、あくまでも税理士と事業者との関係という
ことになりますので、最後の条では、東京都の関係で、
万が一、税理士の先生が損害賠償をされたとしても、
それは事業者が負担するものという規定をいれています。
(2)法的にどの程度有効か
今回は、緊急時の対策として、
東京都の確認作業自体の負担を軽減し、
早期に協力金を事業者に届けることで、
協力的な事業者を増やすこと、及び
倒産等の経済的損失を低減することを
目的として専門家の事前確認の制度を採用しています。
このような状況においては、
>関与先でない一般の納税者
>から確認の依頼を受けた場合
も当然想定され、関与先でない納税者
に対しては、専門家としてもそこまでの
調査・確認ができるわけではないことは
前提として考えられるので、
税理士の先生の善管注意義務の程度は
通常の業務よりも当然、軽くなると考えられます。
そのような状況に加えて、上記のような
書面で、内容の正確性の確認についても、
事業者に対して行っているということであれば、
法的な対策としては、かなり強い意味がある
と考えていただいて良いでしょう。
よろしくお願い申し上げます。