代表弁護士 永吉 啓一郎様
いつもお世話になっております。
ご質問がありますので、ご回答をお願い致します。
質問
協同組合の総会では、みなし決議とみなし報告は可能でしょうか。
ご教示ください。
以上、よろしくお願い致します。
ご質問ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。
1 ご質問
>質問
>協同組合の総会では、みなし決議とみなし報告は可能でしょうか。
>ご教示ください。
2 回答
(1)みなし決議・みなし報告について
先生のおっしゃるところの、
みなし決議とみなし報告というは、
会社法319条及び320条に定めるような
組合員による全員の同意がある場合の決議ないし報告の省略が
できるのかというご想定でよろしいでしょうか。
まず、協同組合と一口に言っても、
各協同組合についてそれぞれ個別法が定められています。
それぞれの個別法に会社法319条及び320条のような
規定がある場合にのみ、
同様のみなし決議・みなし報告が可能となります。
中小企業等組合法、消費生活協同組合法、農業協同組合法などを参照しましたが、
いずれも会社法319条及び320条のような規定はなく、
定款等に定めがあれば別考慮になりますが、それがない
場合には、法律上は省略できないということになります。
コロナ対策としては、個別の組合員の性質や人数等も
考慮して、以下の方法等を検討する必要がありますが、
仮にどの方法も難しいという判断の場合には、
緊急時の対応として、全員の同意により
行っている以上、総会が必要な趣旨に反しないとして、
決行するという決断も一つあるかとは思います。
ただ、そもそも組合員の全員の同意が取れる
状況であれば、以下の方法で対応できるケースが
多いと思います。
(2)その他の方法
ア 委任状を集める方法
組合員の人数が比較的少ない場合、かつ
定款や法令上(←各共同組合の根拠法)
代理人の資格に制限がない場合(あったとしても、
代理人になれる者に集約できる)には、
事前に委任状をできる限り集め、少人数で総会を
行ってしまう方法です。
イ 書面による議決権行使
法令に基づき、定款により組合員の書面による議決権行使
が認められている場合には、
開催場所等は設置した上で、書面による議決権行使を行うように
組合員にお願いする方法です。
例えば、中小企業等共同組合法による組合の場合には、
同法11条により、定款に定めることにより、
書面による議決権行使が認められており、
各県の中小企業団体中央会においての定款例等にも
記載があるので、定款をご確認ください。
https://www.chuokai-kanagawa.or.jp/wp/wp-content/uploads/2017/03/70511fc64ee591cac82a16ddb0ff53a0.pdf
ただし、上記ア、イの場合でも、
実際に会場に来たいという人を拒否することは、
できません。
全員の同意が取れる前提なら特に問題はない
とは思いますが、
株主総会について、
コロナ対応について、経産省・法務省が
QAを更新しています。
https://www.meti.go.jp/covid-19/kabunushi_sokai_qa.html
個別判断になりますが、一定のルールを設けて
条件付きで感染拡大防止措置のための出席を拒否できる場合も
あると思います。
よろしくお願い申し上げます。