いつもお世話になります。
3月決算法人ですが、急遽3月中に配当金を支払うことになりました。
定款の規定 配当に関する規定は一切ありません。定めてない事項は法令によるとの記載。
配当財源は問題ないとの前提です。
臨時株主総会を開いて
配当財源 金銭
普通株式1株につき〇〇円、配当総額〇〇円
配当の効力を生ずる日 2020年3月25日
その他剰余金の処分に関する事項
減少する剰余金の項目及びその額
任意積立金20,000
増加する剰余金の項目及びその額
繰越利益剰余金20,000
(剰余金全体はは十分なプラスであるが繰越利益剰余金が△のため、任意積立金を取り崩して繰越利益をプラスにします)
というような決議をして配当を支払おうと思います。
(質問)
①配当に関する規定は定款に一切ありませんので、効力発生日の株主に配当するという理解でよろしいでしょうか?
②剰余金全体は配当財源としては十分だが、繰越利益剰余金がマイナスは不自然なので任意積立金をとりくずすと考えてますが、そもそも剰余金全体でみて配当財源が充足していればそれでよいのでしょうか?
以上、よろしくお願いします。
ご質問、ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。
1 ご質問①~配当時期について
>①配当に関する規定は定款に一切ありませんので、効力発生日の株主に配当するという理解
>でよろしいでしょうか?
ご指摘のとおり、効力発生日の株主に配当すれば問題ありません。
株主総会決議によって配当を行う場合の決議事項として、
配当の効力発生日を定める必要があり、
この時点で、株主に株式会社に対する
配当支払請求権が発生することになります。
これに応じて、会社は、この義務を果たすべく、
効力発生日の株主に配当を行うことになります。
なお、一般的に配当を行う場合には、会社の事務処理の便宜上、
配当の基準日(配当を受けられる株主を確定する日)が
定められていることが多いので、その場合には、
基準日の株主に配当を行うことになります。
2 ご質問②~任意積立金と剰余金の関係
>②剰余金全体は配当財源としては十分だが、繰越利益剰余金がマイナスは不自然なので任
>意積立金をとりくずすと考えてますが、そもそも剰余金全体でみて配当財源が充足していれ
>ばそれでよいのでしょうか?
ご指摘のとおり、配当の財源規制との関係では、
繰越利益剰余金と任意積立金は、「その他利益剰余金」の
内訳に過ぎませんので、全体で見て配当財源が
充足されていれば、問題はありません。
(なお、定款に任意積立金を控除した範囲で配当する趣旨の
定めがあれば、「定款の規定に違反して剰余金を配当したとき」
(会社法963条5項2号)にあたることとなりますが、配当
について定めがないということなので、こちらも問題ないと
思います。)
ただ、おっしゃるとおり、繰越利益剰余金がマイナス
なのが不自然ではあるので、
実務上は、任意積立金を取り崩してから配当する方法が
多いかと思います。
任意積立金を取り崩して、繰越利益剰余金にするには、
株主総会の普通決議が必要ですので(会社法452条)、
これについても、配当の決議を予定している株主総会の
議案とした上で、合わせて行うことが多いかと思います。
よろしくお願い申し上げます。