倒産法 法人税

破産開始決定後の法人税等(本税)の区分

永吉先生

お世話になっております。
破産手続開始後に発生した法人税等(本税)の区分について教えて頂けますでしょうか。

通常は欠損金や資産整理により所得は発生しないのですが、過年度が無申告で帳簿も杜撰なため過去の決算や欠損金を把握するのが困難なケースがあります。
ここで破産財団の換価により所得が生じた場合、これに係る法人税等はどのように区分されますでしょうか。

破産財団の管理、換価等のための費用として優先的財団債権(破148①二)となるか、劣後的破産債権となるかのいずれかと思われます。
明確な考え方等あれば宜しくお願い申し上げます。

●●先生

ご質問、ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。

1 ご質問

>ここで破産財団の換価により所得が生じた場合、これに係る法人税等はど
>のように区分されますでしょうか。
>破産財団の管理、換価等のための費用として優先的財団債権(破148①二)
>となるか、劣後的破産債権となるかのいずれかと思われます。

2 回答

結論としては、劣後的破産債権(破産法99条1項1号、97条4号)
となると考えられます。

ご指摘のとおり、
破産手続開始決定後に生じた租税債務等について
は、「破産財団の管理、換価等のための費用」にあたるか否かに
よって区分するとされ、この費用性の有無は、
破産財団を構成する財産の所有・換価の事実に基づいて課せられ、
あるいは右財産から生ずる収益そのものに対して課せられる
租税その他破産財団の管理上当然その経費と認められる
公租公課にあたるか否かによって判断されます。

消費税の場合には、換価による売却等が直接の課税取引となる
ため、「破産財団の管理、換価等のための費用」となる一方で、

法人税など、一定の課税期間による損益を計算し、最終的に
所得金額が確定し、その所得に対して課税するものは、
「換価の事実に基づいて課せられ」た費用とは評価できないもの
と考えられます。

最判昭和43年10月8日(所得税について)や
最判昭和62年4月21日なども同様の考えに基づき
判断しています。

よろしくお願い申し上げます。