よろしくお願いいたします。
債務超過の会社社長が亡くなりました。
後継者はおらず、会社清算に追い込まれると予想されます。
金融機関からの債務については当然に個人保証をしているため
相続人である妻と子供は相続を放棄する予定です。
相続人が相続放棄した場合、保証債務の請求は孫や従妹にまで及ぶと聞いたことがあります。
Q1.法的に保証債務の請求はどこまで及ぶのでしょうか?また、優先順位などもあるのでしょうか?
Q2.孫や従妹に請求が及んだ場合、どういった対策が取れますか?
ご質問、ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。
1 ご質問①~保証債務と相続について~
>金融機関からの債務については当然に個人保証をしているため
>相続人である妻と子供は相続を放棄する予定です。
>相続人が相続放棄した場合、保証債務の請求は孫や従妹にまで及ぶと聞いたことがありま
>す。
>Q1.法的に保証債務の請求はどこまで及ぶのでしょうか?また、優先順位などもあるので
>しょうか?
保証債務は、「相続」により引き継がれるもの
ですので、相続人が負担するのみです。
つまり
>相続人である妻と子供は相続を放棄する予定です。
相続放棄をした場合、これらの者は、そもそも相続人
ではなかったことになりますので、保証債務を相続しません。
(つまり保証債務の請求は及びません。)
次に、これらの者が相続人ではなかったことに
なる関係で、相続権が次順位の者に発生します。
第1順位である子が相続放棄をしているため、
第2順位である「直系尊属」(被相続人の親等)が
存在すれば、その者が相続権を有することとなり、
保証債務を相続する(保証債務の請求を受ける)こととなります。
ですので、対策としては、
直系尊属が存在する場合には、その者も相続放棄をする必要があります。
さらに、直系尊属が存在しないまたは相続放棄を
した場合には、
第3順位である被相続人の兄弟姉妹に相続権が生じることとなるため、
兄弟姉妹も相続放棄する必要があります。
ここで注意が必要なのは、
兄弟姉妹が既に死亡している場合には、代襲相続が
おこり、兄弟姉妹の子が相続権を有することになりますので、
そのようなケースでも、兄弟姉妹の子(代襲相続人)が
相続放棄をする必要があります。
言葉にすると面倒ですが、単純に
相続放棄があった場合に、
誰が相続人となるのかという問題です。
相続の順位については、下記の記事に
詳細を記載していますので、こちらをご参照ください。
https://zeirishi-law.com/souzoku/souzokunin-souzokubun
>相続人が相続放棄した場合、保証債務の請求は孫や従妹にまで及ぶと聞いたことがありま
>す。
相続放棄をした子の子(被相続人の孫)には代襲相続は発生しません
(相続放棄があった場合、そもそも放棄者が相続人ではなくなるため、
代襲の対象となる相続権がないため)し、
被相続人の従妹に相続権が発生する根拠はありませんので、
おそらく誤解かと思います。
なお、「被相続人の子」の従妹という意味ですと、
上記の兄弟姉妹の子が代襲相続人になるケースは
当てはまります。
2 ご質問②~対策について~
>Q2.孫や従妹に請求が及んだ場合、どういった対策が取れますか?
対策としては、
結局のところ、相続放棄との関係で、次順位の相続人が
誰になるのかを確定し、相続人になった者が順次相続放棄を
していくということとなります。
絶対にしなければならないというわけではありませんが、
子が相続放棄をすることにより、他に相続人となる方がいるのであれば、
その方に、相続放棄をしたことを知らせてあげた方がよいかと思います。
よろしくお願い申し上げます。