非上場株式のオーナーが亡くなった際に、相続された株式を会社に買い取ってもらう方法をご教示ください。
前提
非上場株式オーナーが100%株式を保有
オーナーは株主兼代表取締役
オーナーの相続人は、オーナーの妻と子(2人)
会社は従業員150名程で、役員はオーナーのみ
ご質問
①株式が相続された場合に株価が高いので、会社に買い取ってほしい場合、親族が会社に必ず買い取ってもらえるよう、オーナー生存中に会社内部で整備できることはあるのか。
(株価が高いので、相続税の納税資金にしたい意図もあります)
②会社に買い取ってもらう場合、極端な話100%全て買い取ってもらうこと(100%全て自己株)はできるのでしょうか。
ご質問ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。
1 ご質問①〜親族が会社に買い取ってもらえる方法~
>①株式が相続された場合に株価が高いので、会社に買い取ってほしい場合、親族が会社に
>必ず買い取ってもらえるよう、オーナー生存中に会社内部で整備できることはあるのか。
>(株価が高いので、相続税の納税資金にしたい意図もあります)
一つの方法として、
全ての株式に取得請求権を付ける方法があります。(会社法107条1項2号)
取得請求権とは、
「株主」が、会社に対して、株式の買取を請求するという、
株主側に主導権のある制度です。
このような株式の設計に関する定款変更の手続きは
株主総会の特別決議のみですので、
> 非上場株式オーナーが100%株式を保有
> オーナーは株主兼代表取締役
という状況であれば、滞りなく行うことができます。
ただし、取得請求ができるとしても、
分配可能額の範囲でしか行うことができませんので、
その点はご留意ください(会社法166条1項ただし書)。
2 ご質問②〜全て自己株とできるのか?~
>②会社に買い取ってもらう場合、
>極端な話100%全て買い取ってもらうこと(100%全て自己株)は
>できるのでしょうか。
法律理論上は、発行済株式を
すべて自己株式とすること自体は規制されていませんので可能です。
もっとも、上記の通り、
自己株式を取得する場合、原則として、分配可能額の範囲内で
対価を払うことになります(会社法166条1項ただし書)ので、
それで可能であればということとなります
(この財源規制違反の場合には、自己株取得は無効と解釈されています)。
また、仮に100%自己株式とした場合、
会社の重要な意思決定をする株主総会において議決権を行使できる人がいなくなり、
決算の承認はもちろん、役員報酬の決定等もできなくなりますので、やめた方が良い
ということにはなります。
よろしくお願い申し上げます。